先週、Youtubeで落合陽一さんと西村博之さんの対談を聴いていると、落合さんが面白いことをおっしゃっていました。
上の動画の1時間26分~1時間29分のあたりなのですが、だいたい次のようなお話でした(読みやすいように、話し言葉を少し編集しています)。
AIのコストが毎年1/10になるという話をしました。3年くらい気絶していると、AIが1/1000の価格で手に入るわけです。……日本はLLMをちゃんと作れないまま、今になりました。……放っているうちに、いつの間にか「オープンAI」の良いモデルがオープンソースになった。つまり「気絶していたら手に入ったぞ」みたいな。
……
ここ数年、僕がよく言うフレーズがあるんですが、「プロダクトを考えるとき、新機能が欲しければ3つの選択肢がある」というものです。
1 つは、自分で「作る」という方法。
2 つ目は、「買う」という方法。誰かのサービスを使うということです。
3 つ目に、これは最近出てきた選択肢ですが、「待つ」というもの。待っていると、誰かが作ったものが0 円(オープンソース)になって提供される。その速度が十分早くなると、「待つ」は意外と有用な選択肢になる。(限られたリソースを)他へ投資しておいて、「この分野は待っているほうが楽」というのが結構あるんですよ。
以前、「すでに持っている知識の活用(exploitation)と、新しい知識の探索(exploration)」という話をしました。
「自分で探索をしなくても、他人が探索した知識を自分が活用できる時代になった」ということなのでしょう。
さて、今回のタイトルに掲げた「生成AIの時代を生き残る戦略」ですが、世代によっても違うのではないでしょうか。
若い人なら、シンプルに「生成AIを学んで、自分の人生やビジネスに活かす」ということかもしれません。
若ければ若いほど、探索した知識を活用できる期間が長いので、「AIを学ぶ」といった探索の価値は大きいでしょう。
すでに「生成AIとの競争で、新卒の仕事が無くなり始めている」ということも言われます。
若者にとって、生成AIを使いこなして競争力を高めるのは死活問題なのでしょう。
私はこれを書いている時点で50代の半ばですが、私やもっと年上の世代なら、別の戦略も考えられます。
平均的には、年齢とともに(体力や集中力など)学習する能力は衰え、学習への投資(時間や労力)を回収する人生の残り時間も少なくなるでしょう。
落合さんが言うように、生成AIはこれまでのPC・インターネット(「Windows 95」が出た1995年頃~)やスマートフォン(「iPhone」が出た2007年頃~)とは違い、意識的に学ばなくても、待っていれば自然と生活環境に実装される側面もあるのでしょう。
以前、「お金に働いてもらう」という考え方を紹介しました。
資金力では若年層より年長世代が有利でしょうから、中島聡さんの『メタトレンド投資』(徳間書店、2025年)のように、AIの恩恵を受ける企業に投資をすることで、自分の代わりに働いてもらう、という戦略も考えられるでしょう。
よく聞く話に「ゴールド・ラッシュで儲けたのは金を掘った人ではなく、金を掘る人に道具を売った者だ」というものがあります。
https://gendai.media/articles/-/109414
これまでは、たしかに生成AIの「道具」を売るNVIDIAのような企業が大きな成長を遂げてきました。
生成AIに巨額の投資をするGAFAM(Google、Apple、Facebook、Amazon、Microsoft)のような企業が、マネタイズ(monetize、収益化)に成功し、投資を回収できるのか疑問視する声もあります。
これまでの歴史を振り返れば、AIもやがてコモディティ化(commoditized、陳腐化・低価格化)し、AIを活用する企業や社会が広く恩恵を受けるのかもしれません。
はたして、現実はどう動くのでしょうか。
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