(経営学者)佐藤 耕紀 のブログ

経営学の紹介 & Coffee Break(写真、紀行、音楽など)

2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

『深夜特急』の残影を探して(7)シンガポール

週末のCofee Breakです。 バンコクの次にどこへ行こうか迷った沢木さんは、「そうだシンガポールへ行こう」と決めて、マレー半島を南下します。 ジョホール・バルからは水路を隔てた向こうに、南国の陽光をいっぱいに受けたシンガポールの高層ビル群が見えた…

「規模の経済性」と「経験効果」(2)「速度の経済性」

前回は「商品をたくさん売ると、固定費の割合が小さくなる」ことによる「規模の経済性」の話をしました。 そういう「規模の経済性」は、さらにいくつかのタイプに分けられます。 たとえば、人件費や家賃のように「時間あたりいくら」でかかる費用があります…

『深夜特急』の残影を探して(6)バンコク

週末のCofee Breakです。 やがて香港を出発する決心をした沢木さんは、2つ目の経由地、バンコクへと飛びます。 目の端にキラキラするものが飛び込んでくるような気がした。私は雑誌から顔を上げ、窓の外を見た。 キラキラしているのは太陽の光だった。飛行機…

「規模の経済性」と「経験効果」(1)

「先行者優位」が生まれる背景には、「規模の経済性」(economies of scale)や「経験効果」(experience curve)もあります。 「規模の経済性」は、「生産(販売)の規模が大きいほど、経済的(低コスト)になる」ということです。 そのしくみを理解するカ…

『深夜特急』の残影を探して(5)マカオ

週末のCofee Breakです。 香港でのある日、沢木さんは高速フェリーに乗り、マカオを訪れます。 海は青く透き通ってはいなかった。ブルーではなくグリーン。それも彌敦道の宝石屋の店頭に飾られている翡翠のような重く沈んだ緑色だった。そのとろりとした質感…

「お客を呼ぶ商品」と「利益を出す商品」の組み合わせ 「マージン・ミックス」(2)

前回の続きです。 昨今の値上げラッシュで姿を消しましたが、大手チェーンのハンバーガーが100円以下で売られていた時代もありました。 目玉商品の「100円バーガー」が売れても、利益はほとんど出ないはずです。 しかし多くのお客は、ポテトやドリンクも買っ…

『深夜特急』の残影を探して(4)香港

週末のCofee Breakです。 ふたたびスター・フェリーに乗り、九龍に戻った沢木さんは、彌敦道を北へ歩き、佐敦道を左へ曲がって、やがて「廟街」(Temple Street)に行き当たります。 何百、いや何千という夜店が数百メートルにもわたって延々と続いているで…

「二子玉川 蔦屋家電」さまで、拙著が今月もランキング上位です(2023年4月)

(写真はいずれも、2023年4月の上旬です) 1年以上にわたり、拙著「今さらマーケティング」を大きく展示してくださっている「二子玉川 蔦屋家電」さま。 今月もランキング(マーケティング部門) の3位に入っています。 ありがとうございます。 こちらは新宿…

「お客を呼ぶ商品」と「利益を出す商品」の組み合わせ 「マージン・ミックス」(1)

前回お話しした「キャプティブ価格」では、耐久財(「プリンタ」「カミソリ」「携帯電話」)を安くしてお客をロック・インし、補完財(「インク」「替刃」「通話料」)で利益を出そうとします。 これは「お客を呼ぶ商品」(利益率の低い商品)と「利益を出す…