(経営学者)佐藤 耕紀 のブログ

経営学の紹介 & Coffee Break(写真、紀行、音楽など)

『深夜特急』の残影を探して(7)シンガポール

週末のCofee Breakです。

バンコクの次にどこへ行こうか迷った沢木さんは、「そうだシンガポールへ行こう」と決めて、マレー半島を南下します。

 

    ジョホール・バルからは水路を隔てた向こうに、南国の陽光をいっぱいに受けたシンガポールの高層ビル群が見えた。私はその光景に九龍から香港島を眺めた時のような感動を覚えた。

沢木耕太郎著『深夜特急2 マレー半島シンガポール』新潮社、2020年、第五章「娼婦たちと野郎ども  マレー半島II」)

 

2014年に「マリーナ・ベイ・サンズ」の展望デッキから眺めた、シンガポールの高層ビル群。

沢木さんが見た景色とは違いますが、香港を彷彿とさせるのはたしかです。

 

シンガポールで沢木さんが最初に訪れたのは「アラブ・ストリート」でした。

 

    私はタクシーをアラブ・ストリートという辺りで降ろしてもらった。そこに当てがあったわけではなく、どこか賑やかな場所で降ろしてくれと頼むと、乗客が全員で相談し、アラブ・ストリートがよかろうということになったのだ。

……

    そこはアラブ・ストリートという名にふさわしく、通りには金色屋根のモスクが建ち、またインドから中近東にかけての雰囲気を持つ店が並んでいる。

沢木耕太郎著『深夜特急2 マレー半島シンガポール』新潮社、2020年、第六章「海の向こうに  シンガポール」)

 

「アラブ・ストリート」から、北西を見た眺め(2014年に撮影)。

 

沢木さんが「金色屋根のモスク」と書いた「サルタン・モスク」。

「アラブ・ストリート」の50mほど北東を並行する「ブッソラー・ストリート」から(2014年)。

 

バンコクから陸路、2000キロを旅して訪れたものの、沢木さんはシンガポールにあまり心を引かれなかったようです。

 

    シンガポールは大きく変貌を遂げようとダイナミックに動いている都市だった。到るところで古い建物が壊され、新しく高層ビルディングが作られている。すでに完成している建物には、高級輸入品店やレストランが入り、辺りにきらびやかさをふりまいている。しかし、物にほとんど興味のない私にとっては、フランスやイタリアの洋服や革製品がいくら安くても関係なかった。
    チャイナ・タウンもうろついたし、オーチャード・ロードも歩いた。タイガー・バーム・ガーデンも見物したし、あらためてサルタン・モスクへも行ってみた。だが、どこもつまらなかった。すべてが、これまで通ってきた土地にあるものばかりだった。しかも、そのミニチュアにすぎない。
    とりわけ落胆したのはチャイナ・タウンだった。近代化の波に激しく洗われているせいなのか、狭く、小さく、なにより活力がなかった。私は五日もいると退屈するようになった。

    サマセット・モームが泊まったことがあるという有名なラッフルズ・ホテルで紅茶を飲み、帰りにどこかで映画を見てくる。しかし、それも三日続けると飽きてしまった。シンガポールに大きな期待を抱いていただけに、落胆の度合も大きかった。

沢木耕太郎著『深夜特急2 マレー半島シンガポール』新潮社、2020年、第六章「海の向こうに  シンガポール」)

 

シンガポールの「チャイナ・タウン」。

スミス・ストリートからトレンガヌ・ストリートに入ったところ(2014年に撮影)。

 

2014年に訪れた「ラッフルズ・ホテル」。

 

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