前回は「商品をたくさん売ると、固定費の割合が小さくなる」ことによる「規模の経済性」の話をしました。
そういう「規模の経済性」は、さらにいくつかのタイプに分けられます。
たとえば、人件費や家賃のように「時間あたりいくら」でかかる費用があります。
そういう固定費に対して売上を増やす、つまり「時間あたりの売上を増やす」ことで生まれる規模の経済性を、チャンドラーは「速度の経済性」(economies of speed)と呼びました。(*1)
飲食店なら、時間あたりの売上は「席数×回転率×客単価」になります。
「席数」は、「同時にお店に入れるお客の数」です。
「回転率」は、「1つの席あたり、何人のお客が入れ替わったか」ということです。
飲食店では、「先に来たお客が食べ終わって帰った後の席に、次のお客が入れ替わりで座る」ということが繰り返されます。
1つの席を利用したお客が2人なら「2回転」、3人だったら「3回転」というふうに数えます。
「客単価」は、「1人のお客が使う金額」です。
薄利多売のファスト・フード店なら、値段(「客単価」)を安くする代わりに、席をぎゅうぎゅう詰めにして「席数」を増やし、食事が済んだらすぐに席を立ってもらうようにして「回転率」を上げるでしょう。
高級レストランなら、ゆったり席を配置して、ゆっくり食事や会話を楽しんでもらう代わりに、値段(客単価)を高くするでしょう。
やり方はいろいろですが、「時間あたりいくら」の固定費があるときは、「時間あたりの売上を大きくする」ことで、利益は大きくなります。
*1 アルフレッド・D・チャンドラー Jr. 著、鳥羽欽一郎・小林袈裟治訳『経営者の時代 アメリカ産業における近代企業の成立』(東洋経済新報社、1979年)、p.414
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