前回お話しした「キャプティブ価格」では、耐久財(「プリンタ」「カミソリ」「携帯電話」)を安くしてお客をロック・インし、補完財(「インク」「替刃」「通話料」)で利益を出そうとします。
これは「お客を呼ぶ商品」(利益率の低い商品)と「利益を出す商品」(利益率の高い商品)の組み合わせ、役割分担という意味では、「マージン・ミックス」(margin mix、いろいろな利益率の商品を組み合わせる)という販売戦略の一種です。
20世紀のはじめに「お客を呼ぶ商品」と「利益を出す商品」の役割分担を考えたのは、安全カミソリの「ジレット」でした。
「ジレット」は創業者(King C. Gillette)の名前でもあり、ブランド名でもあります。
一度「カミソリ」を売ることができれば、その後は「替刃」を繰り返し買ってもらえます。
ジレットは、「カミソリ」を安くしてお客を呼び、「替刃」で利益を出せば、全体の利益を増やせると気づいたのです。
多くの商品をあつかう小売店や飲食店でも、「お客を呼ぶ商品」と「利益を出す商品」の役割分担を考えます。
スーパーなら、特売品というものがあります。
たとえば卵を特売で売ると、そこからは利益がほとんど出ないでしょう。
しかし、特売には集客効果があります。
卵を目当てに来店したお客も、卵だけ買って帰るのは効率が悪いので、ついでに他の商品も買うでしょう。
卵で損をしたとしても、トータルで利益が出ればよいのです。
ドラッグ・ストアで食料品が安いのはなぜでしょう。
スーパーの「特売品」の役割を果たすのが、ドラッグ・ストアでは食料品なのです。
安い食料品に誘われて集まったお客の一部は、医薬品や化粧品も買ってくれます。
そういう商品の利幅が大きいので、全体としてはちゃんと利益が出るのです。(*1)
*1 DIAMOND online「ドラッグストアが薬よりも化粧品や食品にますます力を入れる理由」2019 年 3 月26 日
https://diamond.jp/articles/-/197839
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