前回は、見る人によって色が変わるという、不思議な写真を紹介しました。
それは私たちヒトのあいだでの、見え方の個人差でした。
異なる生物種になると、違いはさらに劇的です。
「五感」のような感覚システム(sensory system)を発達させ、維持し、機能させるには、身体の限られた栄養やエネルギーを振り向けなければなりません。
情報を得るには、費用がかかるわけです(information cost)。
「効果よりも費用のほうが大きい」ような情報を集めていたら絶滅します。
だから、生物はそれぞれの「生存と繁殖」に役立つ情報だけを、効率的に集めるように進化したはずです。
たとえば、モンシロチョウは紫外線を見ることで、オスとメスを見分けるようです。(*1)
ヘビは動物の体温(赤外線)をとらえて、獲物を見つけます。(*2)
渡り鳥やサケ、ミツバチなどは、地磁気を感じて移動に利用するようです。(*3)
コウモリのように、超音波で餌を探す動物もいます。(*4)
私たちヒトは、上記のような感覚をもちません。
そういう能力をもつ費用に対して、効果が小さいのでしょう。
私たちが感じるのは、光(電磁波)の一部の波長や、音波の一部の周波数など、自然界にあふれる情報のうち、ごくわずかなものです。
生物によって、見える世界はまったく違います。
私たちヒトのあいだでも、脳内の主観的な世界は人それぞれです。
「群盲、象をなでる」といいますが、とらえる情報によって、世界の解釈は大きく変わります。
私たちはみな「井の中の蛙」なのかもしれません。
*1 NHK for School「紫外線カメラで見たモンシロチョウ」
https://www2.nhk.or.jp/school/movie/clip.cgi?das_id=D0005300083_00000
*2 AFPBB News「ヘビが赤外線を「感じる」メカニズムが明らかに、米研究」2010年3月16日
https://www.afpbb.com/articles/-/2710359
*3 The Sankei News「人間の「第六感」 磁気を感じる能力発見 東大など」2019 年3月19日
https://www.sankei.com/article/20190319-6UGPQVLP4BLEDJYGVSX3WW6A4A/
*4 NATIONAL GEOGRAPHIC「人にもできる! 音で周囲を知覚する「反響定位」のしくみ」2021年2月9日
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/21/020500061/
⇒ ブログの概要(トップ・ページ)はこちら。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「宣伝会議」さまの実践講座に登壇しました。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
https://www.keiei-seminar.com/movie_detail/movkey/1548/
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆ 「読者が選ぶビジネス書グランプリ2022」にノミネートされました。
◆ ライザップの瀬戸健社長が、『週刊文春』で書評をお書きくださいました(2021年10月28日号、p.121)。
単行本、聴く本(オーディオブック、Audible)、電子書籍(Kindle、Kobo、Kinoppy、honto、Doly)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「マーケティング」【内容紹介】
◆ 「二子玉川 蔦屋家電」さまで、マーケティングの月間ランキング1位になりました(2022年5月、6月、9月)。
◆ 『日刊工業新聞』さまに書評が掲載されました(2022年2月7日)。
単行本、聴く本(オーディオブック、Audible)、電子書籍(Kindle、Kobo、Kinoppy、honto、Doly)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「意思決定」【内容紹介】
◆ 『PRESIDENT』2023年2.17号の「職場の心理学」のコーナーで、「絶対に失敗が許されない人の「意思決定力」養成法」と題した著者の記事が掲載されました(p.106-109)。
単行本、聴く本(オーディオブック、Audible)、電子書籍(Kindle、Kobo、Kinoppy、honto、Doly)