『選択の科学 コロンビア大学ビジネススクール特別講義』(シーナ・アイエンガー著、櫻井祐子訳、文藝春秋、2014年)
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「集団主義」については、次のように書かれています。
日本などの集団主義社会に属する人々は、選択を行う際、「わたしたち」を優先するよう教えられ、自分というものを、家族、職場、村、国など、主に自分の属する集団との関係性でとらえる。ハリー・トリアンディスによれば、集団主義者は「主に集団の規範や、集団から課された義務に動機づけられ」、何よりも「集団の成員との関係性を重視し」、「個人的な目標よりも、集団の目標を優先させることを厭わない」人々をいう。だれもがナンバーワンを目指す代わりに、集団全体の必要が満たされて初めて、個人が幸せになれると考えられている。たとえば「負けるが勝ち」という日本のことわざ(文字通り、負けることは勝つことという意味)に込められているのは、我を通すより和を重んじる方が望ましいという考え方だ。
集団主義的な世界観がおよぼす影響は、だれが選択を行うべきかという問題にとどまらない。集団主義者は、個人的特性だけが自分自身を形作っているとは考えない。かれらは、自分の属する集団との関係を通して、自分のアイデンティティを理解するのだ。そのためかれらはできるだけ社会の内集団にとけ込み、集団との和を保とうとする。実を言えば、長い歴史を通じてより一般的な行動規範だったのは、個人主義ではなく、むしろ集団主義の方だった。初期の狩猟採集社会は必要上、集団主義の度合いがきわめて高かった。互いの面倒を見ることが、全員の生存確率を高めたからだ。人類が農耕を生活手段とするようになってからは、集団がさらに重視されるようになった。人口が増えるにつれ、かつて人々をまとめていた家族や部族の力は衰え、宗教を始めとするほかの集団がこのすき間を埋めて、人々に一体感と共通の目的を与えるようになった。(pp.70-71)
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