宣伝しない宣伝戦略？（1）「心理的反発」 - （経営学者）佐藤耕紀のブログ

今年の夏休みに、宮崎駿さんの『君たちはどう生きるか』という映画を見ました。

夢を見ているような、不思議な印象の映画でした。

興行収入は2023年9月の時点で80億円を超え、海外の配給も好調で、採算はとれる見込みのようです。（＊1）

この映画では、「内容を事前に一切明かさない」という異例の宣伝手法も話題になりました。

この方針については、スタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが、NHKのインタビューで概略を語っています。（＊2）

私はあまり聞いたことがなかったのですが、「新商品の発売前に情報を制限することで消費者の好奇心をあおり、購買意欲をかきたてる販売手法」は、「ハングリー・マーケティング」と呼ばれているようです。（＊3）

そういうマーケティングの背景には、どんな人間心理があるのでしょうか。

子どものときに親から「勉強しなさい」と言われて、「今やろうと思っていたのに、言われたらやる気がなくなった」とふてくされたことはないでしょうか。

そいういう心理を「心理的反発」（psychological reactance、心理的リアクタンス）といいます。

「強制されると反発したくなる」「自分の好きにさせてほしい」という心理です。

「ロミオとジュリエット」のように、禁じられた恋がますます燃え上がるのも、心理的反発でしょう。

やるなと言われるとやりたくなるのです。

私たちには、「追われると逃げたくなる」「逃げられると追いたくなる」など、ちょっと「あまのじゃく」な心理があります。

情報を出さないと言われると、かえって興味をそそられて、どうしても知りたくなるのです。

＊1 ORICON NEWS「スタジオジブリ鈴木敏夫P『君たちはどう生きるか』「ちゃんと採算とれました」」2023年9月21日

＊2 NHK 「謎に包まれたジブリの新作鈴木敏夫Pに聞いた！」2023年7月6日

＊3 imidas「ハングリーマーケティング」

⇒「経営学」の記事一覧はこちら。

⇒ ブログの概要（トップ・ページ）はこちら。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

「宣伝会議」さまの実践講座に登壇しました。

www.sendenkaigi.com

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「経営学」【内容紹介】

◆ 「読者が選ぶビジネス書グランプリ2022」にノミネートされました。

◆ ライザップの瀬戸健社長が、『週刊文春』で書評をお書きくださいました（2021年10月28日号、p.121）。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「マーケティング」【内容紹介】

◆ 「二子玉川蔦屋家電」さまで、マーケティングの月間ランキング1位になりました（2022年5月、6月、9月）。

◆ 『日刊工業新聞』さまに書評が掲載されました（2022年2月7日）。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「意思決定」【内容紹介】

◆ 『PRESIDENT』2023年2.17号の「職場の心理学」のコーナーで、「絶対に失敗が許されない人の「意思決定力」養成法」と題した著者の記事が掲載されました（p.106-109）。

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆