H・ファヨール著、佐々木恒男訳『産業ならびに一般の管理』（未来社、1972年）。
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ファヨールは、「管理」が「予測」「組織」「命令」「調整」「統制」の5つの要素からなると言います。（p.21）
管理とは、予測し、組織し、命令し、調整し、統制することである 。
（1）予測： 将来を吟味し、活動計画を作成する。
（2）組織： 企業の物的・社会的組織を構成する。
（3）命令： 従業員を機能させる。
（4）調整： あらゆる活動とすべての努力を結びつけ、一元化し、調和させる。
（5）統制： すべての事柄が、確立された規準と与えられた命令に従って行われるよう注意する。
「予測」については、次のように書かれています。（p.77-91）
（1）予測
● 予測するということは、将来を算定すると同時にそれに備えるということを意味する･･････その主要な発現・感覚的な表示・最も効果的な手段、それは活動計画である。
● 活動計画の基礎：
①企業の資源（建物・施設・原料・資本・従業員・生産能力・商業的販路・社会的関係等々）
②進行中の諸活動の性質と重要性
③将来の可能性。
● 活動計画は企業の資源の活用を容易にし、企業目的を達成するために用いられるべき最善の方法の選択を容易にする。それは躊躇・誤った操作・不当な方向転換を除去しあるいは減少させる。それは従業員の進歩に貢献する。
● 良い活動計画の一般的特徴 ：
① 一元性： 一度に適用されるのはひとつの計画でしかあり得ない。異なる二つの計画が一度に適用されるのは二元性であり、混乱であり、無秩序である。
② 継続性： 計画に基づく指導的活動は継続的でなければならない。人間の洞察力の限界は不可避的に計画の期間を限定する。計画に基づく指導的活動に中断が生じないためには、第二の計画が間髪を入れず第一の計画に続かねばならず、第三の計画が第二の計画に続かねばならない。
③ 柔軟性： 計画は、我々がその計画に採り入れた方がよいと判断する修正に順応するだけの柔軟性に富んでいなければならない。
④ 正確性： 計画は、企業の運命にのしかかっている未知の事柄と両立し得る、十分な正確性をもたねばならない。普通、近い将来の活動方針はかなり正確に描くことが可能である。大まかな行動の指針は遠い将来の活動に適している。
●優れた活動計画作成のために指導者に必要とされるもの ：
① 人を取り扱う技術： 部門責任者から真摯で積極的な協力を得るためには、苦労も責任をも恐れない有能な人間操縦者が必要である。
② 多くの活動力： 予測は、指導者の側に継続的な注意を是非とも必要ならしめる。
③ 一定の道徳的な勇気：一定の慎重さが必要であるが、可能な最善の結果を探求することも必要である。
④ 十二分の安定性： 指導者が活動計画の作成に有効に取り組むために、進行中の活動・担当者の価値・企業の資源・企業の全体的な組織ならびに企業の将来の可能性についての十分な知識をもち得るためには、長い時間が必要である。
⑤ 企業の職業的な専門に関する一定の能力。
⑥ 事業についての一定の一般的な知識。
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