前回の疑問は、「カード決済やタッチ決済ではできなかったことが、なぜPayPay(QRやバーコード)で次々と実現するのか」というものでした。
これは簡単にいうと、スマホが読み取り端末になったからではないでしょうか。
カード決済やタッチ決済では、読み取り端末がそれなりに高額で、あちこち気軽には設置できません。
盗難や破損の危険がありますから、人気のない場所に端末を放置するわけにもいかないでしょう。
だから、それなりに多くの人が利用する場所で、営業時間内にしか端末を利用できず、利用者はわざわざ設置場所まで行く必要があったわけです。
ところが、カメラ付きのスマホが普及すると、お客が自分のスマホでQR(バー)コードを読み取れるようになりました。
売り手としては、コードを紙に印刷したり、タブレットに表示するだけで決済サービスを使えるようになり、システム導入のコストが大きく下がりました。
お客のほうも、いつでもどこでもスマホで読み取るだけなので、便利に手軽に利用できます。
カード決済やタッチ決済は、限られた場所の端末で、集中処理をするシステムでした。
PayPayは、お客の一人ひとりが端末をもつ、分散型のシステムになりました。
分散型のシステムが実現するには、スマホというインフラの普及が必要でした。
そういうタイミングをとらえたイノベーションが、コード決済だったのでしょう(日本は出遅れたようですが)。
決済サービスどうしの戦いは「規格競争」です。
「ネットワーク効果」や「スイッチング・コスト」「ロック・イン」によって「先行者優位」が生まれ、「一人勝ち」(勝者の総取り)が起こりやすいタイプの競争です。
PayPayは、教科書のような「市場浸透価格」(Penetration Pricing)で、セオリーどおりに勝利をおさめたようです。
次回は、その戦略についてお話しします。
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