(経営学者)佐藤 耕紀 のブログ

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クラシック音楽の名曲・名盤を語る:シューベルト「未完成」交響曲(10)

北海道・旭川市でFM番組(*)のパーソナリティをつとめるアサリ(浅利 豪)と、経営学者のコーキ(佐藤 耕紀)によるクラシック音楽談義。2人は高校の同期で、かれこれ40年のつきあい。

*  FMりべーる「クラシックにくびったけ」

https://fm837.com/program/classic-ni-kubittake/

https://clatake837.amebaownd.com/

 

アサリ  次のおすすめは、全盛期(71歳)のベームKarl Bohm、1894~1981年)が、ベルリン・フィルを指揮した演奏(1966年)。

前出のワルター盤とともに、この曲の決定盤だと思う。

ベームの「未完成」は、ステレオ期ではこのベルリン・フィル盤(スタジオ録音)のほかに、ウィーン・フィルとのライヴ録音が(映像を含め)3つある。

 

ベームは、年齢とともにテンポが遅くなったよね。

70年代のウィーン・フィル盤は、味わいはあるものの重すぎる。

「未完成」には、彼の60年代のテンポが合うと思う。

 

コーキ  たしかにベルリン・フィル盤ではテンポも速く、若々しいね。

後述するウィーン・フィルとの1975年盤(ベームが81歳になる年)や、1977年盤(ベームが83歳になる年)になると、年代なりに音質はいいけど、テンポはかなり遅い。

 

アサリ  シューベルトでも「ザ・グレート」なんかは、ベーム晩年のゆったりしたテンポが合うと思うので、一概には言えないけど。

ともかくベルリン・フィルとの「未完成」は、まるでライヴのような緊張感がある。

第1楽章の冒頭、第2主題に移る前のリタルダンドは強烈。

 

コーキ 「リタルダンド」というのは、手元のスコア(全音楽譜出版社、2017年)でいうと「A」の直前かな?

楽譜にリタルダンドはないけど、思いを込めたのかな。

スフォルツァンド(fz、力を込めて強く)の音はむしろ抜き気味で、その前3小節くらいの音にアクセントをつけているね。

ここをイン・テンポでやる指揮者も多いので、たしかにベームの解釈の特徴かもしれない。

 

アサリ ベームは、基本的にはテンポをあまり動かさない指揮者だと思うけど、シューベルトは特別なのかな。

 

コーキ  とにかく、これは定盤だね。

ベームらしく、手堅く質実剛健で、すべてがしっくりくる。

しみじみとした味わいもある。

ベルリン・フィルの音色、迫力、アンサンブルもさすが。

 

ベーム指揮、ベルリン・フィル(1966年)のLPジャケット。

 

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