最近「老害」という言葉をよく聞くという話から始まって、「先行者が変化を受け入れられず、後発者に追い越される」という「リープ・フロッグ」や「イノベーションのジレンマ」、改革を難しくする「スイッチング・コスト」や「Jカーブ効果」、「損失回避」の心理から生まれる「惰性」や「現状維持バイアス」の話をしてきました。
世界のなかでもとくに「高齢化」が進み、「年功序列」の文化がある日本は、「老害」の起こりやすい国かもしれません。
最新の技術やトレンドに疎い年功者が権力を持ち続け、組織や社会の変革を阻害するという構図になりやすいからです。
変化がなく、ずっと同じことを続けるのなら、年功者の経験や知識は貴重で、後輩や若手から尊敬されるでしょう。
しかし、現代のように変化の激しい時代には「知識の陳腐化」が早く、最新の技術やトレンドについていけない年功者は、若手から「老害」と呼ばれるのでしょう。
技術やトレンドに疎くなった年功者も、政治の手腕はなかなか衰えません。
政治は群れをつくる動物の本能に根ざすもので、おそらく人類の黎明期から、その手法はあまり変わっていないのでしょう。
「政治の起源は、人間性の起源より古い」を標榜する『チンパンジーの政治学』という本もあります。(*1)
だから、的確な経営判断ができなくなった年功者も、権力はなかなか失わないのでしょう。
日本の平均年齢はすでに48歳を超えていますが(*2)、私はその平均年齢よりも年長で、どちらかといえば「老害」と言われる側の世代です。
私自身はもうしばらく学び続けて、時代についていきたいと思っていますが、いつかはそれもできなくなるでしょう。
そうなったら、どうやって生きていけばよいのでしょうか。
次回は、そんなことを考えてみようと思います。
*1 フランス・ドゥ ヴァール 著、西田利貞訳『チンパンジーの政治学 猿の権力と性』産経新聞出版、2006年
https://www.amazon.co.jp/dp/4902970694
*2 国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(令和5年推計)結果の概要」p.22
https://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2023/pp2023_gaiyou.pdf
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