新著『今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「意思決定」』の内容紹介。
今回は「知識の陳腐化」のお話です。
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「陳腐化」(obsolescence)という言葉があります。
ビジネスの世界では「計画的陳腐化」(planned obsolescence)という戦略が知られます。商品の売上を増やすために、モデル・チェンジなどで旧モデルを「陳腐」(時代遅れ)にして、「意図的に買い替え需要をつくる」ということです。
アメリカ・マーケティング協会のベスト・ブック(2018年)に選ばれた『ヒットの設計図』では、次のように書かれています。
ゼネラルモーターズ社CEO、アルフレッド・スローンのような鋭い企業リーダーは、車のスタイルと色を毎年変えれば、同じ製品でも、消費者が新しいバージョンを次々に欲しがるようにできるのではないかと気がついた。製造効率の科学とマーケティング理論を組み合わせたこの気づきによって、「計画された時代遅れ」というアイデアが生まれた。製品がおしゃれに感じられる期間や、機能する期間をわざと短くして、消費者が繰り返し新しい製品を買いに来るように仕向けるという方法である。他の業界でも、製品の色や形やデザインを常に変更すれば、買い替えを促し、販売を倍増できるということに、企業が気づき始めた。テクノロジーがさまざまな選択肢を可能にし、その選択肢がファッションを生み出したのである。こうして、あるデザインや色や人々の行動が、急に「かっこいい」ともてはやされるかと思うと、突然「古臭い」ものになるという、どこまでも続くサイクルが生まれた。(*1)
(おそらく事実ではないと思いますが)「◯◯タイマー」(◯◯社の商品は、保証期間が切れた直後に壊れるように、タイマーが仕込んである)といった「都市伝説」も生まれました。
昨今は「知識の陳腐化」(obsolescence of knowledge)が速くなったと感じます。
「Windows95」が出た1995年ごろから、PCやインターネットが一般に普及し、私たちは日常的にウェブサイトを見るようになりました(Web1.0)。
初代の「iPhone」が発売された2007年ごろからは、「Twitter」のようなSNSで、個人が情報発信やコミュニケーションをする時代になりました(Web2.0)。
これからのweb3は、「自律分散」の時代になるともいわれます。(*2)
私のような旧い世代も、次々に登場するツールやアプリをつかいこなそうと、一応の努力はしてきました。しかし、古いものが廃れ、新しいものが登場するサイクルは、どんどん速くなっているように感じます。かつての知識は役に立たなくなり、学び続けなければ生き残れない、大変な時代になったと思います。
近年はデジタル技術の進歩で、変化の速い時代になりました。
意思決定にも、スピードが求められるでしょう。
新陳代謝や世代交代を進め、最先端の知識をもつ若い世代が活躍できるようにしなければ、日本の未来はないのかもしれません。
*1 デレク・トンプソン著、高橋由紀子訳『ヒットの設計図―ポケモン GO からトランプ現象まで』(早川書房、2018 年)、第 2 章「「新しい物好き」の誕生」
*2 伊藤穰一著『テクノロジーが予測する未来 web3、メタバース、NFT で世界はこうなる』(SB クリエイティブ、2022 年)
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