今回は稀代のヒット・メーカー、秋元康さんの言葉を紹介します。
よく、目の前に壁が立ちふさがったときは、頑張って乗り越えろと言いますよね。けれど、壁というのは、乗り越えられないから壁なんです。ですから、僕はそういうときには、右か左にさっと動くんです。動くと、切れ目のない壁はないので、いつか必ずどこかで切れている。
何が言いたいかというと、つまり「立ち止まるな」ということなのです。みんな壁にぶち当たって、どうするかを考えて1日つぶす。これがもったいないんです。そこで立ち止まってしまったら、どうやっても壁の向こうには行けません。僕がニューヨークへ行ったのも、右か左へ動いたわけです。それでも立ち止まらずに進んでいると、おのずと結論が出てくる。結局、壁の向こうに行けたんですね。
大げさなことではなく、例えば僕が小説で行き詰まったとしても、うーん、と考えたまま1週間過ごすことはありません。この途中までできた小説を捨てて、全然違うものを書き始めるんです。あるいはこの仕事をいったんやめて、全く違うことをやり始めます。逃げてもいいんですよ。そのときに、人生において大事なのは「戻ってくる力」なのです。
……
僕の好きな言葉に、「人生に無駄なし」というのがあります。「人生の中で、この時期はいらなかった」、ということはありません。それがどんなにつらい時期でも通ってきた道には必ず理由があるんですね。例えば、山本一力さんのようにサラリーマンをやってきて、それから小説を書いた方がいる。僕は山本さんのお話を伺ってとても感動したんですが、そのサラリーマン時代の話が、小説を書く上で、すごく重要な経験となっていると思います。
(NHK「仕事学のすすめ」制作班編『秋元康の仕事学』NHK出版、2011年、pp.123-126)
私は、この秋元さんの言葉から「臨機応変に、柔軟に考える」ことを学んだような気がします。
「逃げたら負け」という考え方もありますが、ときには退却するのも立派な戦略でしょう。
たとえば、進もうと思う道の真ん中に大きな岩が立ちはだかって、それを動かしたり、削ったりするには何年かかるかわからないとしましょう。
それなら、ひとまずはその道をあきらめて、別の道を行ってもよいのでしょう。
いろいろな道が、先へ行けばつながって、同じところへと続いているかもしれません。
動かないものに固執するより、動かしやすいところから変えていくのがよいのかもしれません。
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