前回の続きです。
「先行者優位」「スイッチング・コスト」「ロック・イン」のある業界では、「浸透価格」(penetration pricing)という戦略が有効です。
「(当初は)利益を度外視した低価格で、市場シェアの拡大をはかる」ということです。
PayPayも、当初は「手数料無料」や「100億円あげちゃうキャンペーン」で巨額の赤字を出しながら、急速に利用者を増やす戦略をとりました。
PayPayの利用に大きなメリットがあれば、利用者は急速に増えます。
利用者が多ければ、PayPayを導入するお店も増えます。
お店にとって、利用者の多い決済サービスは魅力的だからです。
使えるお店が多いと便利なので、PayPayの利用者はますます増えます。
こうして「利用者が多いと、使えるお店が増える」「使えるお店が多いと、利用者がさらに増える」という好循環が生まれます。
「ネットワーク効果」(network effect、利用者が多いほどサービスが便利になる効果)を活かして、利用者と使えるお店をどんどん増やしていくのです。
アプリのダウンロードや利用者登録をして、PayPayに慣れた利用者には「スイッチング・コスト」(switching cost、乗り換え費用)が発生します。
ほかの決済サービスに乗り換えると、ふたたび手続きをしたり、使い方を覚えなければなりません。
それはちょっと面倒なので、大きな不満がなければ、利用者はPayPayを使い続けます。
PayPayに「ロック・イン」(lock-in、囲い込み、閉じ込め)されるということです。
こうして、PayPayは「先行者優位」(first-mover advantages)を築きます。
出遅れたライバルとの差をどんどん広げて、最後はPayPayの「1人勝ち」(winner-take-all、勝者の総取り)になるのです。
(次回へ続く)
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