(経営学者)佐藤 耕紀 のブログ

経営学の紹介 & Coffee Break(写真、紀行、音楽など)

『深夜特急』の残影を探して(19)マルセーユ

週末のCofee Breakです。

前回はドラマ版について書きましたが、ふたたび原作の『深夜特急』に戻ります。

 

    日の暮れかかった頃、マルセーユに着いた。

    鉄道駅のサン・シャルル駅の近くに安宿を見つけると、私は荷物を部屋に置いて街に出た。

    アテネ通りからカンビエール通りというメイン・ストリートを直進すると、大小さまざまのヨットが係留されている港に出てくる。海岸をぶらつき、レストランのメニューを眺め、また海岸をぶらつく。

沢木耕太郎著『深夜特急6  南ヨーロッパ・ロンドン』新潮文庫、2020年、第十六章「ローマの休日  南ヨーロッパI」)

 

サン・シャルル駅は、南側の大階段が印象的な、美しい駅です。

 

沢木さんも上った「サン・シャルル駅」の大階段(2017年に撮影)。

 

沢木さんは大階段の下から続く「アテネ通り」(Boulevard d'Athenes)を南下し、「カンビエール通り」(La Canebiere)を西へ向かいます。

そうすると、やがてマルセーユの旧港につき当たります。

駅から旧港までは1kmちょっと、歩いて15分ほどです。

 

マルセーユ「旧港」の眺め(2017年に撮影)。

 

マルセーユはフランスの南端に近い場所ですが、北上してイギリスへ渡れば、目的地のロンドンまで、そう遠くはありません。

しかし、沢木さんはそうやって旅を終わらせることに、戸惑いを感じるのです。

 

<ここが旅の終わりなのだろうか……>

    私はヨーロッパの地図を頭に浮かべた。自分はいまイベリア半島のつけ根にいる。これから地中海を背に、私がいま向いている大西洋の方角へ一直線に進んでいけば、一日でパリに着くことになる。旅は間違いなくここで終わるのだ。しかし、私にはここが旅の終わりだということがどうしても納得できない。どこまで行けば満足するのかは私にもわからなかった。ただ、ここではない、ということだけははっきりしている。ここではない、ここではないのだ。

沢木耕太郎著『深夜特急6  南ヨーロッパ・ロンドン』新潮文庫、2020年、第十六章「ローマの休日  南ヨーロッパI」)

 

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