週末のCofee Breakです。
前回はドラマ版について書きましたが、ふたたび原作の『深夜特急』に戻ります。
日の暮れかかった頃、マルセーユに着いた。
鉄道駅のサン・シャルル駅の近くに安宿を見つけると、私は荷物を部屋に置いて街に出た。
アテネ通りからカンビエール通りというメイン・ストリートを直進すると、大小さまざまのヨットが係留されている港に出てくる。海岸をぶらつき、レストランのメニューを眺め、また海岸をぶらつく。
(沢木耕太郎著『深夜特急6 南ヨーロッパ・ロンドン』新潮文庫、2020年、第十六章「ローマの休日 南ヨーロッパI」)
サン・シャルル駅は、南側の大階段が印象的な、美しい駅です。
沢木さんも上った「サン・シャルル駅」の大階段(2017年に撮影)。
沢木さんは大階段の下から続く「アテネ通り」(Boulevard d'Athenes)を南下し、「カンビエール通り」(La Canebiere)を西へ向かいます。
そうすると、やがてマルセーユの旧港につき当たります。
駅から旧港までは1kmちょっと、歩いて15分ほどです。
マルセーユ「旧港」の眺め(2017年に撮影)。
マルセーユはフランスの南端に近い場所ですが、北上してイギリスへ渡れば、目的地のロンドンまで、そう遠くはありません。
しかし、沢木さんはそうやって旅を終わらせることに、戸惑いを感じるのです。
<ここが旅の終わりなのだろうか……>
私はヨーロッパの地図を頭に浮かべた。自分はいまイベリア半島のつけ根にいる。これから地中海を背に、私がいま向いている大西洋の方角へ一直線に進んでいけば、一日でパリに着くことになる。旅は間違いなくここで終わるのだ。しかし、私にはここが旅の終わりだということがどうしても納得できない。どこまで行けば満足するのかは私にもわからなかった。ただ、ここではない、ということだけははっきりしている。ここではない、ここではないのだ。
(沢木耕太郎著『深夜特急6 南ヨーロッパ・ロンドン』新潮文庫、2020年、第十六章「ローマの休日 南ヨーロッパI」)
⇒「写真紀行」の記事一覧はこちら。
⇒ ブログの概要(トップ・ページ)はこちら。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「宣伝会議」さまの実践講座に登壇しました。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆ 「読者が選ぶビジネス書グランプリ2022」にノミネートされました。
◆ ライザップの瀬戸健社長が、『週刊文春』で書評をお書きくださいました(2021年10月28日号、p.121)。
単行本、聴く本(オーディオブック、Audible)、電子書籍(Kindle、Kobo、Kinoppy、honto、Doly)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「マーケティング」【内容紹介】
◆ 「二子玉川 蔦屋家電」さまで、マーケティングの月間ランキング1位になりました(2022年5月、6月、9月)。
◆ 『日刊工業新聞』さまに書評が掲載されました(2022年2月7日)。
単行本、聴く本(オーディオブック、Audible)、電子書籍(Kindle、Kobo、Kinoppy、honto、Doly)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「意思決定」【内容紹介】
◆ 『PRESIDENT』2023年2.17号の「職場の心理学」のコーナーで、「絶対に失敗が許されない人の「意思決定力」養成法」と題した著者の記事が掲載されました(p.106-109)。
単行本、聴く本(オーディオブック、Audible)、電子書籍(Kindle、Kobo、Kinoppy、honto、Doly)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆