(経営学者)佐藤 耕紀 のブログ

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「老後2000万円問題」にどう備える?(7)テクニカル分析は「占い」と同じ?

*投資について、ここでは私の考えを書いているだけで、読者におすすめするつもりはありません。投資の結果については責任をもてませんので、ご自身の判断と責任でお願いいたします。

 

前回の続きですが、『ウォール街のランダム・ウォーカー』を書いた経済学者、マルキール(Burton G. Malkiel)の言葉を、もう少し紹介しましょう。

 

マルキールは、株式投資の手法としてよく紹介される「テクニカル分析」や「ファンダメンタル分析」の効能については、(多くの経済学者と同様に)厳しい見方をしています。

 

    ……私の同僚であるリチャード・クォントが言うように、「テクニカル分析は科学的な外見を装ってはいるが、実は占星術と同類である」ということになる。

(バートン・マルキール著『ウォール街のランダム・ウォーカー <原著第13版> 株式投資の不滅の真理』日本経済新聞出版、2023年、p.207)

 

    ……株式の本来あるべき価値を探るファンダメンタル分析でも、マーケットが砂上の楼閣を築く傾向を探るテクニカル分析をもってしても、平均を上回るリターンを上げ続けることはできない。

(バートン・マルキール著『ウォール街のランダム・ウォーカー <原著第13版> 株式投資の不滅の真理』日本経済新聞出版、2023年、p.558)

 

投資リターンの目安や、具体的な投資戦略については、次の記述が参考になると思います。

 

    ……投資期間が25年以上で、配当を全額再投資し、次に述べるドル・コスト平均法に従って追加投資を続ければ、株式のリターンは安全な債券や預金保険の対象となる貯蓄よりも高いリターンが得られると考えて、まず間違いない。

(バートン・マルキール著『ウォール街のランダム・ウォーカー <原著第13版> 株式投資の不滅の真理』日本経済新聞出版、2023年、p.492)

 

    投資家が年をとるにつれて、リスクの高い投資の割合を減らし、債券やREIT(上場不動産投信)、配当が安定して高水準な株式の割合を増やし始めるべきである。そして、55歳までには定年後に備えた生活設計にとりかかり、利子・配当収入を中心にしたポートフォリオに切り替えるべきだ。債券の比重を高め、株式に関しても成長性よりは配当収入を重視した、より保守的な運用にするということである。そして定年後は、ポートフォリオの大部分を様々な満期や種類の債券で運用するのが望ましい。その際、簡便法として、ポートフォリオに占める債券の組み入れ比率を自分の年齢と同程度にするのがよいのではないかと思う。……

(バートン・マルキール著『ウォール街のランダム・ウォーカー <原著第13版> 株式投資の不滅の真理』日本経済新聞出版、2023年、pp.509-510)

 

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