週末のCofee Breakです。
意気揚々とカジノに乗り込んだ沢木さんでしたが、その結末は意外なものでした。
行くぞ!
私は自分自身に声を掛け、入口に向かって歩いていくと、門衛がさりげなく立ちはだかり、にっこり笑いながらフランス語で何か言った。きっと、御愛想を言っているのだろう。ところが、私が笑いを返しながら通り抜けようとすると、今度ははっきりと手で制された。どういうことか。私が英語で訊ねると、門衛も英語で応じた。
「あなたは入れません」
私はむっとして、少し強い調子で訊ねた。
「どうして」
それに対して、門衛は極めて慇懃な口調で言った。
「ここではジャケットの着用が必要なのです」
(沢木耕太郎著『深夜特急6 南ヨーロッパ・ロンドン』新潮文庫、2020年、第十六章「ローマの休日 南ヨーロッパI」)
沢木さんが見られなかった、カジノの内観(2017年に撮影)。
カジノをあきらめた沢木さんは、モナコに一泊だけして、ニースへ向かいます。
その夜、私はリターン・マッチができなかったことの悔しさと、一文なしにならなかったことの安堵感が混じり合った奇妙な思いとで、なかなか眠りにつくことができなかった。
翌朝、オトギの国のモナコを散歩した。グレース・ケリーが住んでいるはずの王宮は遠くからみるだけにして、ヨット・ハーバーへ続く道を歩いた。
(沢木耕太郎著『深夜特急6 南ヨーロッパ・ロンドン』新潮文庫、2020年、第十六章「ローマの休日 南ヨーロッパI」)
ヨット・ハーバーを見下ろす「オスタンド通り」(Avenue d'Ostende)から、西を見た眺め(2017年に撮影)。
沢木さんが行かなかった「王宮」(モナコ大公の宮殿)から、「ヘラクレス港」(北東)を見た眺め(2017年に撮影)。
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