『和をもって日本となす』(ロバート・ホワイティング著、玉木正之訳、角川書店、1990年)
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日本の長時間労働については、次のように描かれています。
日本の若者の多くは、自分が努力家だとか協調性のある人物だというようなレッテルを貼られることを嫌がっている。しかし、だからといって、彼らが徹底した快楽主義者の浪費家であるとか、断固とした個人主義者というわけでは、けっしてない。
彼らは、依然として毎朝早起きをし、背広の襟に社章をつけ、顔に表情のない<サラリーマン>(sarariman)に混じり、信じられないほど混雑している通勤電車に長時間揺られて出勤している。そして会社に着くと、仕事をはじめる前に社歌を斉唱し、朝の体操をするのである。また夕方5時の退社時間になっても、それと同時に机から立ち上がることのできる神経の持ち主は、やはり非常に少なく、とりたてて仕事がなくてもしばらくのあいだは机に向かい、時間のすぎるのを待ち続けるのである。というのは、ほかの誰もがそのようにしているからであり、自分だけ時間どおりに席を立つのは恰好が悪いというような考えがあるからだ。それに、もちろん、上司の無言のプレッシャーが強くて、他人と違うことをやろうと思ってもできないという面もあるのだろう。
おそらく日本の現在の若者たちは、彼らの父親たちのようには会社というものに忠誠心を感じていないに違いない。しかし、彼らが父親たちとはまったく異なる行動を見せているというわけではない。彼らの多くは、依然として、父親たちと同じような日課をくり返している。その理由はいたって簡単なことで、ただ単に、ほかに選択の余地がないからである。政府の調査によると、日本人は韓国を除く世界のあらゆる国民のなかでもっとも長時間働いている。そして、調査が毎年くり返されるたびに、いつも同じような結果が出ているのである。(pp.330-331)
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