週末のCofee Breakです。
モナコに着いた沢木さんは、モンテ・カルロ駅の近くに宿をとり、カジノへ乗り込む前に腹ごしらえをします。
レストランの店先には定食のメニューが出ている。何軒か見ていくうちに、ワイン蒸しのムール貝を定食のメイン料理にしている店があった。私はそこに入り、ハウス・ワインの白を呑みながらムール貝を食べた。これが実に美味しかった。……
(沢木耕太郎著『深夜特急6 南ヨーロッパ・ロンドン』新潮文庫、2020年、第十六章「ローマの休日 南ヨーロッパI」)
(モナコの次に沢木さんが訪れる)ニースで食べたムール貝(2017年に撮影)。
食事を終えた沢木さんは、いよいよカジノへ向かいます。
超大型のクルーザーが係留されているヨット・ハーバーまで坂を下り、その縁を廻り込むようにしてもうひとつの坂を登っていく。暗いその坂道を歩きながら、この道がオケラ街道にならなければいいのだがと思ったりもした。
坂を登りきると、カジノの建物の裏手に出る。そこから表に廻った私は、グラン・カジノに軽い一撃を浴びせられた。屋根に装飾時計を配したゴシック風の外観が、落ち着いた灯りに照らされ、微妙な陰影を伴って浮き出ている。それだけでもマカオのリスボアとは比較にならない重厚な造りであることがわかる。だが、私が圧倒されたのは建物ではなかった。扉の前には洒落た制服を着た門衛が立っており、高級車が横づけにされるたびに、ドアの開け閉めをする。そこからは、高価そうな毛皮を羽織った婦人と、それをエスコートする紳士が降り立ってくるのだ。……
(沢木耕太郎著『深夜特急6 南ヨーロッパ・ロンドン』新潮文庫、2020年、第十六章「ローマの休日 南ヨーロッパI」)
正確にはわかりませんが、沢木さんはモンテ・カルロ駅のあたりから「スイス通り」(Boulevard de Suisse)を東へ下りたのかもしれません。
さらに「プランセス・アリス通り」(Avenue Princesse Alice)を南へ下りきると、古代の神話にも描かれるという「ヘラクレス港」(Port Hercule)を見渡せます。
そこから「モンテ・カルロ通り」(Avenue de Monte Carlo)を北へ200mほど登ると、「カジノ広場」(Place du Casino)に出ます。
「モンテ・カルロ通り」の南端のあたりから、南東を見た眺め(2017年に撮影)。
「モンテ・カルロ通り」を登ると見えてくる、カジノの敷地の南西側(2017年に撮影)。
「カジノ広場」と「カジノ・モンテ・カルロ」(2017年に撮影)。
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