同じようなことですが、スケジュール管理やプロジェクト管理で使われる「PERT」(Program Evaluation and Review Technique、作業工程を評価・改善する技術)では、「クリティカル・パス」(critical path、重要な工程)という考え方があります。
たとえば夕食当番で、料理をするとします。
メニューは、カレー・ライスとサラダです。
必要な作業は、「米を研いで炊飯器にセットする」(4分)、「ごはんを炊く」(早炊き機能で15分)、「カレーの具材を切る」(7分)、「カレーの具を煮込む」(20分)、「カレーのルーを溶かす」(3分)、「サラダをつくる」(5分)です。
読者のみなさんなら、どんな順番で作業するでしょうか。
これらの作業を、書いてある順番に直列(sequential、serial)でやると、54分かかります(4分+15分+7分+20分+3分+5分)。
しかし、いくつかの作業を同時並行(concurrent、parallel)でやれば、もっと時間を短縮できることにお気づきでしょう。
ポイントになるのは、最も時間のかかる作業に優先してとりかかり、その待ち時間に他の作業を進めるということです。
上の例で、最も時間がかかるのは「カレーの具を煮込む」です。
これを最優先したいところですが、ここで「順序の制約」(precedence constraints)があります。
「順序の制約」というのは、たとえば「お風呂に入るには、先にお湯を沸かさなければならない」「洗濯物を干すには、先に洗濯をしなければならない」など、仕事の順序についての制約条件です。
「カレーの具を煮込む」より前に、「カレーの具材を切る」必要があります。
そのため、ここでは①「カレーの具材を切る」(7分)、②「カレーの具を煮込む」(20分)という順番で作業することになります。
「カレーの具を煮込む」の20分のあいだに、③「米を研いで炊飯器にセットする」(4分)と、④「ごはんを炊く」(15分)を終えることができます。
「ごはんを炊く」のあいだに、⑤「サラダをつくる」(5分)も終えられるでしょう。
そうすると結局、カレーをつくる30分(7分+20分+3分)のあいだに、他のすべての作業も終えることができます。
この場合のカレーにかかわる作業のように、「その作業が遅れると、全体の完了も遅れる」ような工程を「クリティカル・パス」といいます。
「ごはんを炊く」や「サラダをつくる」は、多少なら遅れても、全体の完了時間には影響しません。
クリティカル・パスの工程だけは遅らせないように、仕事を進めることが重要なのです。
「PERT」についてのわかりやすい解説記事をひとつ、以下に紹介しておきます。
FUJIFILM Future CLIP「PERT(パート)図を使って遅れてはいけないポイントを洗い出す」
https://sp-jp.fujifilm.com/future-clip/visualization/vol4.html
⇒ ブログの概要(トップ・ページ)はこちら。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「宣伝会議」さまの実践講座に登壇しました。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
◆ 「読者が選ぶビジネス書グランプリ2022」にノミネートされました。
◆ ライザップの瀬戸健社長が、『週刊文春』で書評をお書きくださいました(2021年10月28日号、p.121)。
単行本、聴く本(オーディオブック、Audible)、電子書籍(Kindle、Kobo、Kinoppy、honto、Doly)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「マーケティング」【内容紹介】
◆ 「二子玉川 蔦屋家電」さまで、マーケティングの月間ランキング1位になりました(2022年5月、6月、9月)。
◆ 『日刊工業新聞』さまに書評が掲載されました(2022年2月7日)。
単行本、聴く本(オーディオブック、Audible)、電子書籍(Kindle、Kobo、Kinoppy、honto、Doly)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「意思決定」【内容紹介】
◆ 『PRESIDENT』2023年2.17号の「職場の心理学」のコーナーで、「絶対に失敗が許されない人の「意思決定力」養成法」と題した著者の記事が掲載されました(p.106-109)。
単行本、聴く本(オーディオブック、Audible)、電子書籍(Kindle、Kobo、Kinoppy、honto、Doly)
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆