4回前の「情報技術(ネット、スマホ、アプリ)で便利になったのに、かえって忙しくなったのはなぜ?」という疑問に戻りましょう。
ひとつの理由は、前々回の「軍拡競争」や、前回の「赤の女王」のように、相対的な地位をめぐる競争があるからでしょう。
絶対的には楽になっても、ライバルとの相対的な地位は変わらないのです。
自分だけが情報技術を手にして、ライバルは持たないのなら、優位に立って楽に戦えるでしょう。
しかし、どんなに世の中が便利になっても、同じ条件で戦うかぎり、ライバルとの競争は楽になりません。
いつまでもずっと、目一杯の努力を続けなければならないのです。
競争とは、そういうものです。
もうひとつは、人間が「ボトルネック」(bottleneck、流れが詰まる場所)になったからではないでしょうか。
仕事が渋滞し、全体が遅れる原因になる場所を(ビンの細い首になぞらえて)「ボトルネック」といいます。
機械がよく故障したり、移動に時間がかかった時代には、機械の修理を待ったり、出張先まで旅をするあいだは、実質的な自由時間、休憩時間に近いものだったでしょう。
人間以外のところにボトルネックがたくさんあって、人間には待ち時間が多かったのです。
ところが、機械が故障しなくなり、処理スピードが速くなり、移動時間が短くなり、勤務時間外まで仕事のメールやLINEが追いかけてくるようになると、人間のほうがボトルネックになります。
人間の前に仕事が列をなして、人間は休む暇もなく、次から次へと仕事に追われるのです。
人間以外の部分が効率化されるというのは、実はそういうことなのでしょう。
ボトルネックについては、物理学者ゴールドラット(Eliyahu Goldratt)の世界的なベストセラー『ザ・ゴール』(三本木亮(翻訳)、ダイヤモンド社、2001年)のなかで描かれています。
ゴールドラットの理論は「制約条件の理論」(Theory of Constraints)と呼ばれます。
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