(経営学者)佐藤 耕紀 のブログ

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時は金なり?(7)「赤の女王」

前回の「軍拡競争」と同じような競争のパターンを、生物学では「赤の女王」(Red Queen)と呼ぶことがあります。

 

たとえば、キツネは足が速いほうが獲物を捕らえやすいので、(ある限界までは)速く走れるように進化するでしょう。

しかし、キツネに追われるウサギのほうも、逃げ足は速いほうが有利なので、走る能力を進化させます。

キツネもウサギも同じペースで走力を高めていけば、相対的な足の速さは、いつまでも変わらないことになります。

 

生物学者デイビスらは、次のように書いています。

 

    Van Valen は、このような類いの終わることのない軍拡競争を 「 赤の女王(Red Queen)」 進化と名付けた(1973)。それは、Lewis Carroll の本『鏡の国のアリス』から「赤の女王」を引用したものである。この物語の中で、赤の女王はアリスの腕を捉えて、速くもっと速くと一緒に走っている。アリスが驚いたことに、2人は動いた気配はなく、同じ場所に留まっているように見える。そこでアリスが 「 私の国では、長いこと速く走ると、普通はどこかよそに辿り着きます 」 と言うと、女王が答えて、「 なんて鈍い国だ! ここでは、同じ場所に留まるだけで、必死に走らなきゃならないんだよ!」(*1)

 

ライバルが相対的な地位をめぐって競争をすると、どちらも優位には立てず、資源やエネルギーを失うばかりになりがちです。

 

*1  N・B・Davies、J・R・Krebs、S・A・West 著、野間口眞太郎・山岸哲・巌佐庸訳『デイビス・クレブス・ウェスト行動生態学 原著第 4 版』(共立出版、2015 年)、pp.93-94

 

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