(経営学者)佐藤 耕紀 のブログ

経営学の紹介 & Coffee Break(写真、紀行、音楽など)

ヨーロッパ鉄道紀行(5) グリンデルヴァルト ~ インターラーケン

週末のCoffee Breakです。 

 

グリンデルヴァルトの駅前にはホテルが建ち並び、観光客で賑わっていました。

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Grindelwald, Switzerland

 

ちょっと歩くと、のどかな風景。どんな暮らしなんだろう。

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Grindelwald, Switzerland

街並みと山岳のコントラストが、ちょっと不思議な感じ。

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Grindelwald, Switzerland

 

お洒落なホテル。

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Grindelwald, Switzerland

 

グリンデルヴァルトをあとにして、インターラーケンへ戻ります。

 

車窓から。

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view from train window : from Grindelwald to Interlaken (Switzerland)

 

インターラーケン東駅から、シュピーツへの遊覧船が出るインターラーケン西駅へ向かいました。

鉄道もつながっていますが、街なかを20分ほど散歩して行くこともできます。

 

インターラーケン西駅、船着き場のあたり。

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Interlaken, Switzerland

 

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今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「経営学内容紹介

◆  「読者が選ぶビジネス書グランプリ2022」にノミネートされました

◆  ライザップの瀬戸健社長が、『週刊文春書評をお書きくださいました(2021年10月28日号、p.121)

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今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「マーケティング内容紹介

◆  「二子玉川 蔦屋家電」さまで、マーケティングの月間ランキング1位になりました(2022年5月、6月、9月)。

◆  『日刊工業新聞』さまに書評が掲載されました(2022年2月7日)

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今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「意思決定」内容紹介

◆  『PRESIDENT』2023年2.17号の「職場の心理学」のコーナーで、「絶対に失敗が許されない人の「意思決定力」養成法」と題した著者の記事が掲載されました(p.106-109)。

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日常に潜む「コンコルド効果」

    著書の草稿で書いたものの、紙幅の関係で泣く泣くボツにしたトピックスがいろいろとあります。

    書いた内容の半分以上はボツになりました。

    それだけ厳選を重ねて、ぎっしりと中身の詰まった本になったはずです。

    今回はボツネタの中から、2-10で書いた「コンコルド効果」(埋没費用効果)にまつわるエピソードを紹介したいと思います。

 

    「コンコルド効果」は、何気ない日常にも潜んでいます。

    ノーベル経済学賞を授与されたセイラーは、『行動経済学の逆襲』のなかで、次のようなエピソードを紹介しています。

 

    ジョイスは6歳になる娘のシンディと、学校に着ていく服のことでもめていた。シンディは、ワンピースはもう着ていきたくない、これからはパンツしか着ないと決めていた。ところが、ジョイスは娘の入学に合わせてワンピースを3枚買っていたので、ワンピースを着せようとした。「せっかく買ったんだから、ワンピースを着なさい!」「ワンピースを着なきゃいけないんだったら学校なんか行かない!」と、来る日も来る日も親子のバトルが続いた。ジョイスはたぶん、「シンディ、あなたはお金のなる木があるとでも思ってるの?」とか、しょうもないことを言ったのではないだろうか。

    私は2人の仲裁に入ることになり、経済学のロジックをジョイスに説明した。ワンピースに支払ったお金はもう戻ってこない。ワンピースを着たところで、お金を取り戻せるわけでもない。シンディがパンツしかはかないと決めたことで新しい服を購入する必要が生じない限り、シンディにワンピースを着るように言い続けたとしても、家計の収支が改善することにはつながらない。私の話を聞いて、ジョイスは喜んだ。娘とけんかするのはいやでしかたがなかったが、新しく買った3枚のワンピースを「無駄」にすることに心の底から罪悪感を持っていたのだ。[1]

 

[1] リチャード・セイラー著、遠藤真美訳『行動経済学の逆襲』(早川書房、2016年)、p.105

 

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ヨーロッパ鉄道紀行(4) クライネ・シャイデック

 クライネ・シャイデックの背後には、荒涼とした雪山がそびえていました。

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Kleine Scheidegg, Switzerland

 

なんとも雄大な景色。

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Kleine Scheidegg, Switzerland

 

天国的な風景です。

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Kleine Scheidegg, Switzerland

 

アイガー北壁の麓、空を映す水鏡。

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Kleine Scheidegg, Switzerland

 

凍えそうな雪山の畏怖から逃げるように、グリンデルヴァルトへ向かいました

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 Kleine Scheidegg, Switzerland

 

車窓からは、ハイジが出てきそうな風景。牧歌的です。

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view from train window : from Kleine Scheidegg to Grindelwald (Switzerland)

 

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『今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「経営学」』

本日、著書が発売になりました。

どうか、よろしくお願いいたします。

 

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https://twitter.com/Ocha_MARUZEN/status/1407931813356466176

 

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ヨーロッパ鉄道紀行(3) ラウターブルンネン

週末のCoffee Breakです。

旅行2日目は、ユングフラウ鉄道群をつかって、山岳地帯を散歩。

ホテルで朝食をすませて、インターラーケン東駅できっぷを買いました。

まずは、ベルナー・オーバーラント鉄道で、ラウターブルンネンへ。

 

のどかな山あいの村です。

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 Lauterbrunnen, Switzerland

 

右手に見えるのが、シュタウプバッハの滝。

その近くに、文豪ゲーテが住んでいたそうです。

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Staubbachfall, Lauterbrunnen, Switzerland

 

もう少し滝に近づいたところ。

滝の下は、きれいな公園になっています。

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Staubbachfall, Lauterbrunnen, Switzerland

 

場所がら、観光ホテルがたくさん。

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Lauterbrunnen, Switzerland

 

きれいな空気を満喫して、次の立ち寄り地、クライネ・シャイデックへ。

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Lauterbrunnen, Switzerland

 

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がんばっても報われないと燃え尽きる?: 学習された無力感

    今回は著書コラムから、Column 7の内容を紹介します。

 

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    「学習された無力感」(learned helplessness)と呼ばれる心理現象があります。経営学者の金井壽宏先生らは、次のようにまとめています。私も含め、ビジネス・パーソンにとっては、身につまされる話ではないでしょうか。

 

    長期間一生懸命頑張ったのに、それがまったく報われない場合に、燃え尽きてあきらめの境地に達してしまうことを、心理学者のMセリグマン(Martin Seligman)は「学習された無力感(learned helplessness)」(もしくは「学習性無力感」)と呼んだ。

    セリグマンは、イヌに電気ショックを与える実験の中で、電気ショックを与えても逃げないイヌを発見する。電気ショックから逃げようとしても逃げようのない経験を何度も何度も繰り返すと、ひたすら動かずに耐えているうちに、そのイヌはあるところで無気力になってしまう。

    ・・・人間の場合も、いい加減でなく、まじめに抑圧に負けまいと一生懸命頑張るタイプの人ならば、頑張れば頑張るほど、逆境が重なるほど、「いくら抵抗しても、自分の力ではどうにもならないんだ」という無力感を(生まれつきでなく、結果として)学習してしまうということがわかった。つまり哀しいかな、逆に頑張りすぎずに適当なところで逃げていたほうが、無力にもならず、ちゃっかりサバイバルできるということなのである。

    下世話に言ってしまえば、係長、課長、部長......と上がっていったときに、「自分はここで上がりかな」と、昇進の限界を感じたところで、「さて、どうするか」ということでもある。・・・

    東京大学の臨床心理学者・倉光修氏は、無力感に陥りがちのミドルに、「中年よ、少志を抱け」とアドバイスしたものだ。[1]

 

[1] 金井壽宏・田柳恵美子『踊る大捜査線に学ぶ組織論入門』(かんき出版、2005年)、pp.118-119

 

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日本の生活水準はどの程度?: 日本の生産性

    今回は著書第11章から、11-5の内容を紹介します。

 

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    みなさんは、日本の生活水準は高いと思いますか?

    もちろん、世界全体の中では高い方でしょう。しかし、先進国の中ではどうでしょうか。そもそも、生活水準はどのように決まるのでしょうか。

    さまざまな国の生活水準は、基本的には「労働生産性」で決まります。生産性は、1人が1時間で生産する商品やサービスの量です。時間当たりの生産性が高い国ほど、生活水準も高くなります[1]

    OECD経済協力開発機構)に加盟する36カ国のなかで、日本の労働生産性は21位と、かなり低い方です[2]。同じ1時間の労働で、アメリカやドイツでは日本の約1.6倍の価値を生み出しています。統計に表れない「サービス残業」という日本特有の(違法な)慣行を考えると、実際には日本の生産性はさらに低いと思われます。

    生産性が高ければ、短い労働時間で十分な収入を得て、余暇を豊かに楽しむことができます。他の主要先進国からみると、日本は長時間労働にもかかわらず賃金が低く、生活水準も相応に低いといえるでしょう。

 

日本の生産性はなぜ低いのか

    生産性は費用対効果ですから、生産性が低いのは「効果のないところに費用をかけている」「無駄なところに時間やエネルギーを割いている」ということでしょう。生産性を高めるには、重要なところに資源を集中して、重要でない仕事は相応に手を抜かなければなりません。トリアージ(1-11)の例を思い出してほしいのですが、資源がかぎられているときには、すべてをきちんとやろうとすると、結果はかえって悪くなります。

    また、ふつうに考えれば、1日の最適な労働時間というものがあるはずです。まったく働かなければ仕事が進みませんし、24時間働き続けたら数日で倒れてしまいます。その中間のどこかに、最適な労働時間があるはずです。最適な労働時間を大きく超えているために、効率が悪くなっているということは考えられるでしょう。

    残業することがわかっていれば、ペース配分をしてゆっくり働くかもしれません。目一杯がんばろうとしても、身体や脳が疲れて効率が落ちるでしょう。短距離走と同じペースでマラソンを走ることはできません。労働時間が長くなれば、時間あたりの成果が低くなるのは当然ともいえます。

    日本では「雇用の流動性」(mobility of labor)が低いことも、生産性が低い理由のひとつかもしれません。

    「飼い殺し」という言葉がありますが、日本では転職をしにくいために、自分に合わない仕事を、モチベーションが下がったまま続けるのかもしれません。パーソル研究所による国際比較調査では、日本の就業者は他国と比較して「仕事の満足度も勤続意欲も低いのに、転職は考えない」という結果が出ています[3]

    雇用の流動性を高めるというと、多くの人は「クビを切られやすくなる」と拒否反応を示すようです。しかし流動性が高まれば、新しい仕事を見つけやすくなるというメリットもあります。現状では解雇が難しいために、企業は雇用を最小限に抑えようとします。

    また、このあとで説明しますが、日本では分業・専門化のメリットが活かされていないということもあるでしょう。多くの先進国で仕事は分業・専門化され、従業員は自分の好きな仕事、得意な仕事に集中します。日本では分業・専門化があいまいで、誰にでも「何でも屋」のように仕事をさせます。

 

    日本の組織ではよく、時給の高い職員が専門外の仕事に時間をとられています。彼らにしかできない仕事に専念してもらい、一般的な仕事は他の職員にまかせる方が効率的かもしれません。

 

[1] N・グレゴリー・マンキュー著、足立英之・石川城太・小川英治・地主敏樹・中馬宏之・柳川隆訳『マンキュー経済学【第2版】II マクロ編』(東洋経済新報社、2005年)、p.18

[2]日本生産性本部労働生産性の国際比較」(2019年版)、https://www.jpc-net.jp/research/list/comparison.html

[3] パーソル総合研究所「パーソル総合研究所、日本の「はたらく意識」の特徴を国際比較調査で明らかに」2019年8月27日、https://rc.persol-group.co.jp/news/201908270001.html

 

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