今回は著書のコラムから、Column 7の内容を紹介します。
「学習された無力感」(learned helplessness)と呼ばれる心理現象があります。経営学者の金井壽宏先生らは、次のようにまとめています。私も含め、ビジネス・パーソンにとっては、身につまされる話ではないでしょうか。
長期間一生懸命頑張ったのに、それがまったく報われない場合に、燃え尽きてあきらめの境地に達してしまうことを、心理学者のM・セリグマン(Martin Seligman)は「学習された無力感(learned helplessness)」(もしくは「学習性無力感」)と呼んだ。
セリグマンは、イヌに電気ショックを与える実験の中で、電気ショックを与えても逃げないイヌを発見する。電気ショックから逃げようとしても逃げようのない経験を何度も何度も繰り返すと、ひたすら動かずに耐えているうちに、そのイヌはあるところで無気力になってしまう。
・・・人間の場合も、いい加減でなく、まじめに抑圧に負けまいと一生懸命頑張るタイプの人ならば、頑張れば頑張るほど、逆境が重なるほど、「いくら抵抗しても、自分の力ではどうにもならないんだ」という無力感を(生まれつきでなく、結果として)学習してしまうということがわかった。つまり哀しいかな、逆に頑張りすぎずに適当なところで逃げていたほうが、無力にもならず、ちゃっかりサバイバルできるということなのである。
下世話に言ってしまえば、係長、課長、部長......と上がっていったときに、「自分はここで上がりかな」と、昇進の限界を感じたところで、「さて、どうするか」ということでもある。・・・
東京大学の臨床心理学者・倉光修氏は、無力感に陥りがちのミドルに、「中年よ、少志を抱け」とアドバイスしたものだ。[1]
[1] 金井壽宏・田柳恵美子『踊る大捜査線に学ぶ組織論入門』(かんき出版、2005年)、pp.118-119
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