著書の草稿で書いたものの、紙幅の関係で泣く泣くボツにしたトピックスがいろいろとあります。
書いた内容の半分以上はボツになりました。
それだけ厳選を重ねて、ぎっしりと中身の詰まった本になったはずです。
今回はボツネタの中から、2-10で書いた「コンコルド効果」(埋没費用効果)にまつわるエピソードを紹介したいと思います。
「コンコルド効果」は、何気ない日常にも潜んでいます。
ノーベル経済学賞を授与されたセイラーは、『行動経済学の逆襲』のなかで、次のようなエピソードを紹介しています。
ジョイスは6歳になる娘のシンディと、学校に着ていく服のことでもめていた。シンディは、ワンピースはもう着ていきたくない、これからはパンツしか着ないと決めていた。ところが、ジョイスは娘の入学に合わせてワンピースを3枚買っていたので、ワンピースを着せようとした。「せっかく買ったんだから、ワンピースを着なさい!」「ワンピースを着なきゃいけないんだったら学校なんか行かない!」と、来る日も来る日も親子のバトルが続いた。ジョイスはたぶん、「シンディ、あなたはお金のなる木があるとでも思ってるの?」とか、しょうもないことを言ったのではないだろうか。
私は2人の仲裁に入ることになり、経済学のロジックをジョイスに説明した。ワンピースに支払ったお金はもう戻ってこない。ワンピースを着たところで、お金を取り戻せるわけでもない。シンディがパンツしかはかないと決めたことで新しい服を購入する必要が生じない限り、シンディにワンピースを着るように言い続けたとしても、家計の収支が改善することにはつながらない。私の話を聞いて、ジョイスは喜んだ。娘とけんかするのはいやでしかたがなかったが、新しく買った3枚のワンピースを「無駄」にすることに心の底から罪悪感を持っていたのだ。[1]
[1] リチャード・セイラー著、遠藤真美訳『行動経済学の逆襲』(早川書房、2016年)、p.105
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