週末のCofee Breakです。
対岸から香港島の夜景を見て、尖沙咀から地下鉄で上環へ戻りました。
ホテルの近くの「蓮香居」という飲茶レストランで夕食(2017年に撮影)。
翌朝、旅の3日目。
上環のホテルを出て、近くの「キャット・ストリート」(Cat Street、摩羅街、Lascar Row)と呼ばれる界隈へ。
沢木耕太郎さんの紀行小説『深夜特急』では、次のように描かれています。
キャット・ストリートは正式の名を摩羅街、ラスカー・ロウという。またの名を泥棒街。それは昨日盗まれたものが翌朝には出まわっているからだとも、それほどに安いからだともいわれている。
その通りを探しながら、坂道を登ったり降りたりしているうちに、偶然、露店が市をなしている通りに出てしまった。そこは坂道の石段に露天が並び、あらゆる種類の食品が商われている。肉、魚、野菜、穀物、果物、乾物、なんでもある。
肉には、牛があり、豚があり、羊があり、蛇があり、鶏がある。鶏は生きたものを売り、その場で絞める。生のものはもちろんだが、焼いたもの、いぶしたもの、茹でたもの、と料理に必要などのような肉でも揃っている。
上野のアメ屋横丁に似ていなくもないが、露店に並んでいる品数の豊富さと、そこで買い物をしている客の熱心さには、格段の差があるように思えた。しかも客は女性ばかりでなく、男性もまたその日の夕食のための一品一品を、あれこれと比較しながら丹念に買い求めていた。
その一帯は露店だけでなく、店舗を構えた商店の密集地でもあった。薬種問屋のエリアがあるかと思うと、金物屋のエリアが続き、生地屋や乾物屋がかたまっている通りもある。
だが、面白いのはやはり露店だ。坂道を一本移るごとに、さまざまな露店を見つけることができる。古着屋、雑貨屋、印刷屋、古本屋などはどこにでもあるだろうが、屋台のテレビ売りや路上の床屋などもいる。
(沢木耕太郎著『深夜特急1 香港・マカオ』新潮社、2020年、第二章「黄金宮殿 香港」)
沢木さんが訪れてから、すでに40年以上が過ぎていました。
しかし私の目に映る景色も、当時とまったく同じなのではないかと思えました。
キャット・ストリート界隈のお店(2017年に撮影)。
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