読書メモ：『和をもって日本となす』（7） - （経営学者）佐藤耕紀のブログ

『和をもって日本となす』（ロバート・ホワイティング著、玉木正之訳、角川書店、1990年）

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日本人とアメリカ人の、仕事観・人生観の違いについては、つぎのエピソードによく表れているように思います。

1986年、ブーマー・ウエルズが、3月の終わりになるまで来日しないという“事件”が起こったのだ。チームメイトは、すでに2か月以上も練習を続けているというのに、彼は夫人の出産を理由に、チームに合流することを拒否した。そのときすでに、日本で3年間の生活を積んだブーマーも、日本の習慣を熟知するまでには至っていなかったようである。すなわち日本では、おめでたや不幸といった人生の重大事も、仕事を休むに足るほどの理由にはならないのだ。

バースも、1984年のシーズン中に父親の危篤という知らせを受けて一時帰国したことがあった。が、このときは球団の許可までおりていたにもかかわらず、彼を批判する人物は少なくなかった。しかも彼の行為は、真の日本人のあり方ともいうべき王貞治のケースと比較されるという不運も重なった。王の父親も同じ年の9月に亡くなったが、そのとき彼は、ジャイアンツの監督として1イニングたりとも仕事を休まなかったのである。（p.169）

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