(経営学者)佐藤 耕紀 のブログ

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読書メモ:『和をもって日本となす』(6)

和をもって日本となす』(ロバート・ホワイティング著、玉木正之訳、角川書店、1990年)

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日本とアメリカの文化や常識の違いについては、次のようなエピソードが紹介されています。

読者のみなさんは、ここに描かれる日本とアメリカ、どちらの感覚に共感するでしょうか。

 

たとえば1980年、当時36歳だったチャック(チャーリー)・マニエルは、ホームラン王に向かって快調な打棒を発揮していた。が、6月のある日、息子のハイスクールの卒業式に出るために、とつぜん1週間ほど故郷のヴァージニアに帰ってしまった。

このニュースを聞いた日本人は、耳を疑った。それは、想像もできない出来事だったのだ。やるべき仕事があり、かつ周囲から必要とされているときに、それを放ったらかしにして持ち場を離れるなど、まったく考えられないことであり、あり得ないことだった。日本では、会社であろうがグラウンドであろうが、まず仕事を最優先するというのが常識になっているのだ。

日本人は、マニュエルのやり方を見て、アメリカ人労働者の仕事に対する態度を“理解”した。怠け癖があり、無責任のくせに、不満を口にすることだけは一人前で、あきらかに給料の取りすぎである……といった具合だ。

アメリカ生活を1年間経験したことのある某スポーツ記者は、『スポーツニッポン』紙上で、次のような“説教”を書いた。

 

アメリカ人は、めったに一生懸命働かない。そのくせ、いつでも文句ばかり口にする。どんなに忙しいときでも、どんなに仕事が山積みになっていても、残業を頼まれないかぎり、平気でさっさと家に帰る。しかも、それで何の良心の呵責も感じないのがアメリカ人なのだ――。

 

これでは、アメリカの経済が破綻するのも当然だ――というわけである。

もっとも、マニュエルはまったく意に介さなかった。「ベースボールはいつだってプレイすることができるけど、息子の卒業式は一回しかないんだから……」と、彼は平然といってのけ、日本に戻ってから再び猛打を発揮し、打率3割2分5厘、48本塁打、129打点という成績で見事にホームラン王と打点王のタイトルを獲得。さらに近鉄バファローズをパシフィック・リーグの優勝へと導いたのだった。(pp.158-159)

 

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