(経営学者)佐藤 耕紀 のブログ

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「黙って言われたとおりにしろ」か、「自分で考えろ」か: 他律と自律

    今回も、著書のボツネタから。

    これも重要なトピックスだとは思いますが、やはりちょっと難しくなってしまったように思えて、最終的には削りました。

 ***** 

    コントロールには「他律」(heteronomous、他から律せられる)、「自律」(autonomous、自ら律する)という考え方もあります。

    他律は、「命令や規則といった、外部からのコントロールにしたがう」ことです。

    自律は「自分で考えて判断する」ことです。

    官僚制は、他律的なコントロールを特徴とします。

    「自動車王」と呼ばれたフォード(Henry Ford)は、20世紀の初めにフォード自動車を設立して、官僚的な大企業に育てあげました。

    彼は次のように書いています。

 

    われわれは、従業員が何でも言われたとおりにやることを期待している。組織は高度に専門化されており、部門どうしは高度に依存しあっているため、われわれは従業員が自由に行動するのを許すなどとは、一瞬たりとも考えたことがない。[1]

 

    2-9では、すでに持っている情報の「活用」と、新しい情報の「探索」という話をしました。「規則による規律」は、「既存の情報をもとに作られた規則を繰り返し使う」ということですから、情報の活用です。

    規則やマニュアルをつくるには、時間や労力という固定費がかかります。そのため、規則を変えずに繰り返し活用することは(一定の費用から大きな効果を生む)規模の経済性(4-6)につながります。それは短期的には効率的でしょう。

    しかし、環境が変化するなかで古い規則やマニュアルを使い続けると、やっていることが時代遅れになってきます。ときには「その規則はもう不要ではないか」「改正すべきではないか」と、情報の探索を行わなうべきでしょう。それが創造性や適応能力、つまり長期的な効率性につながるはずです。

 

[1] Ford, Henry, My Life and Work, Heinemann, 1923, p.111

 

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