(経営学者)佐藤 耕紀 のブログ

経営学の紹介 & Coffee Break(写真、紀行、音楽など)

新著の内容紹介(6)リーダーは背が高い?(ヒューリスティック、ハロー効果)

新著『今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「意思決定」』の内容紹介。

今回は、「 ヒューリスティック」と「ハロー効果 」のお話です。

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    「速い思考」(4-1)で問題を解く手法を「ヒューリスティック」(heuristic、発見的手法)といいます。複数形で「ヒューリスティクス」(heuristics)ともいいます。「短時間で近似解を求める簡便法」「すばやく大まかな答えを出す経験則」ということです。

    その語源は、ギリシャ語で「みつけた」「わかった」を意味する「ユーリカ」(eureka)です。「直感」「ひらめき」といってもよいのでしょう。

    セイラー(2-1)は、次のように言います。


    人が意思決定に費やせる時間や知力には限界がある。そのため、何かを判断するときに、簡便な経験則、つまりヒューリスティクスに頼る。(*1)


イメージで見てしまう「ハロー効果」
    ヒューリスティックのひとつに、「ハロー効果」(halo effect、後光効果)があります。

    これは「プライミング効果」(1-3)の一種で、「目を引く特徴から連想されるイメージで、すべてを判断してしまう」ということです。

    たとえば、よく知らない男性について「あの人は慶応大学の出身だ」と聞くと、「慶応ボーイ」のイメージがわくかもしれません。

    知らない女性について「あの人は看護師さんだ」と聞くと、「白衣の天使」をイメージするかもしれません。看護師さんといっても、実際にはいろいろなタイプの人がいるはずですが、私たちは「ステレオタイプ」(4-3)な先入観を当てはめてしまいがちです。


    「背の高さ」のような身体的な特徴も、ハロー効果を生みます。

    ピンカー(2-2)は、次のように言います。


    ……ほとんどの狩猟採集社会で、「指導者」を指す言葉は「大きな男(ビッグマン)」だし、実際に指導者はたいてい大男である。アメリカでは、身長の高い男のほうがよく雇用され、昇進や収入が多く(年間給与にして1インチあたり600ドル多い)、大統領に選出されやすい。1904年から1996年まで合計24回の大統領選のうち20回は、背が高いほうの候補者が勝った。個人広告欄をちらっと見れば、女性が背の高い男性を求めているのがわかる。(*2)

 

    高身長がリーダーを連想させる理由について、社会心理学者のブレイカー( Nancy M. Blaker)らは、次のように言います。


    ……進化心理学の観点から、背の高い個人はより優位で、健康的で、知的だと感じられ、リーダーにふさわしく見られるだろう。健康な堂々たる身体は、リーダーにかなりの肉体的なリスクがあった祖先の環境では(おそらく、とくに男性にとって)間違いなくリーダーシップの重要な資質だった。(*3)

 

*1  リチャード・セイラー著、遠藤真美訳『行動経済学の逆襲』(早川書房、2016年)、第 3 章「黒板のおかしな行動リスト」

*2  スティーブンピンカー著、椋田直子訳『心の仕組み(下)』(日本放送出版協会、2003年)、p.109

*3  引用した部分は、以下の論文から私が翻訳しました。Blaker, Nancy M., Irene Rompa, Inge H. Dessing, Anne F. Vriend, Channah Herschberg and Mark van Vugt, "The height leadership advantage in men and women: Testing evolutionary psychology predictions about the perceptions of tall leaders," Group Processes & Intergroup Relations, 16-1, 2013, pp.17-27, p.17

 

 

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