新著『今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「意思決定」』の内容紹介。
今回は「 現実とイメージ」のお話です。
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1-3では、「先行刺激に影響された心の状態が、その後の判断や行動を左右する」という「プライミング効果」の話をしました。
みなさんは上司や先輩に頼みごとをするとき、機嫌のよいときを見計らって行くのではないでしょうか。
それは、彼らのちょっとした心の状態(「上司が夫婦げんかをした」「先輩はお腹が減っている」)によって、話の成り行きが変わるからでしょう。
先入観の影響は大きい
私たちは「絵の美しさ」や「料理のおいしさ」や「音楽のすばらしさ」を評価するとき、「目にうつる映像」「舌に感じる味」「耳に聴こえる音」といったリアル・タイムの知覚だけでなく、さまざまな先入観やイメージも含めて総合的に判断します。
たとえば、次のようなことをお考えください。
あなたは長年の夢を叶えて、モネの『睡蓮』の絵を手に入れます。毎日、その美しさを堪能して、幸福感に満たされます。ところがある日、その絵が偽物だとわかったらどうでしょう。とても落胆するのではないでしょうか。しかし、贋作とわかっても、絵の客観的な魅力はまったく変わらないはずです。以前は楽しめた絵を、なぜ楽しめなくなるのでしょう。
有名な画家の絵を買う人は、描かれた内容よりも「権威」や「希少性」や「優越感」に興味があるのでしょうか。
「モネの絵だ」という「ハロー効果」(4-2)がなければ、同じ絵も、まったく違って見えるのでしょうか。
訪問先で出された料理がとてもおいしくて、あなたが「これは何ですか?」と尋ねると、「カエルやカタツムリを調理したものです」と言われます。その瞬間、人によっては吐き戻したくなるかもしれません。それはなぜでしょう。
料理の味よりも、「カエル」や「カタツムリ」から連想されるイメージが重要なのでしょうか。
認知心理学者のブルーム( Paul Bloom)はTED(1-13 の脚注 35)で、次のような実験映像を紹介しています。
ジョシュア・ベルという有名なバイオリニストが、目立たない恰好をして、ワシントンの地下鉄駅で演奏をします。世界的なバイオリン奏者が1億円の楽器を弾いたのですが、45 分間で集まった投げ銭は 3000 円台と、それほど多くはありませんでした。肩書のプライミング効果(ハロー効果)がないと、人々はそれほど感銘を受けないのでしょうか。
この実験では、ベルを知っている人が偶然通りかかって驚愕の表情を浮かべ、同情してお金を入れるというハプニングもありました。 (*1)
*1 TED「The origins of pleasure」https://www.ted.com/talks/paul_bloom_the_origins_of_pleasure
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