週末のCofee Breakです。
「スター・フェリー」乗り場のあたりから。
行き交うフェリーと、対岸の摩天楼。
翌日、フェリーに乗って香港島に渡った。
彌敦道から梳士巴利道に出て、ペニンシュラやYMCAの前を通って少し行くと、埠頭が見えてくる。そこに九龍と香港島とを結ぶフェリーが発着するターミナルがあるのだ。スター・フェリー・ターミナル、華字にすれば天星碼頭。
フェリーは頻繁に発着している。九龍の各所から集まった路線バスから吐き出された客は切れ目なくフェリーに吸い込まれ、またフェリーから吐き出された客がそれらのバスに吸い込まれていく。客は5分と待たずにフェリーに乗ることができる。
九龍から香港島まで、所要時間はおよそ七、八分。その航海とも言えない短い航海は、しかしなかなか気持ちのよいものだった。海上の微風も心地よく、対岸の高層建築群も美しい。これで十セントなら安いものだと思えてくる。
……
スター・フェリーには、昼には昼、夜には夜と、その時刻によってそれぞれ異なる心地よさがあった。
光の溢れる日中には、青い海の上に真っ白な航跡が描かれ、その上をゆったりと鳥が舞う。大気が薄紫に変わる夕暮れどきは、対岸の高層建築群に柔らかな灯が入りはじめる。そして夜、しだいに深まる闇の中で、海面に映るネオンが美しい紋様を描いて揺れるのだ。私はこのスター・フェリーに乗ると、それまで自分が身を置いていた街路の興奮から醒め、心が穏やかになっていくのを感じた。
(沢木耕太郎著『深夜特急1 香港・マカオ【増補新版】』新潮社、2020年、第二章 黄金宮殿香港)
やがて暑さにやられて、冷房の効いたショッピング・モールに逃げ込みました。
「iSquare」(國際廣場)に、見慣れた暖簾がありました。
海外にもお店を出しているようで、シンガポールや台北(台湾)やバンコク(タイ)でも見かけました。
チェーン店でも、お店によって味が違うことがありますが、この「山頭火」は旭川の本店と同じ味わい。
そのあたりのマネジメントはさすがだと思いました。
香港でも猛暑に閉口して、行こうと思った場所の半分もまわれませんでした。
有名な夜景や、『深夜特急』にも出てくる「キャット・ストリート」や「廟街」を見るのは、この後の「アジア旅行・冬」まで待つことになります。
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