新著『今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「意思決定」』の内容紹介。
今回は、「錯覚」と「逆陰影」のお話です。
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脳がふだん暮らしている世界を想定して解釈する例を、もうひとつみましょう。
おそらく下の図で、左の絵は手前(自分側)にふくらんだ出っ張りに、右の絵は向こう側へ彫り込まれたへこみに見えるはずです。
それはなぜでしょうか。
理由を考えてから、その先をお読みください。
参照:NTT「錯視と錯聴を体験 Illusion Forum」「陰影の錯視」
http://illusion-forum.ilab.ntt.co.jp/shading-illusion/index.html
実は右の絵は、左の絵を上下反転させたものです。
私たちの生まれ育った環境で、光源は上にあるのがふつうです。
屋外なら上に太陽があり、屋内でもたいていは上に照明があります。
脳はそのことを学習し、光が上から当たるのを前提として、見るものを解釈します。
光の当たり具合から、左は出っ張りに、右はへこみに見えるのです。
この図をしばらく眺めていると、平面に描かれた絵が、くっきりと立体的に見えてくるでしょう。
それは脳が生み出す実在しない虚像、つまり「錯覚」(illusion、現実とは異なる知覚)なのです。
どちらが近くに見える?
脳の解釈が生み出す錯覚を、もうひとつ紹介しましょう。
下の図では、ちょうど真ん中に◯があり、その右側に、もうひとつ◯があります。
みなさんは、どちらの◯が手前(自分の近く)に見えるでしょうか。
次のLessonの最初に説明しますので、理由も考えておいてください。
参照:NTT「錯視と錯聴を体験 Illusion Forum」「ありえない奥行き」
https://illusion-forum.ilab.ntt.co.jp/virtual-depth/index.html
秋田犬(哺乳類)、スズメ(鳥類)、サバ(魚類)など、多くの動物は太陽に照らされる背中側の色が濃く、陰になるお腹側は白っぽくなっています。
そういう配色を「逆陰影」(countershading)といいます。
均一の配色だと、(最初の図の左側のように)太陽光が当たる背中側は白っぽく光り、陰になるお腹側は黒っぽくなって、そのコントラストで目立ちます。
その効果を打ち消すために(最初の図の右側のような配色の)「逆陰影」が進化するといわれます。
天敵から隠れるにも、獲物に近づくにも、目立たないほうが有利だからです。
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