週末のCofee Breakです。
「リスボア」を眺めながら、ふたたび『深夜特急』に思いを馳せました。
沢木耕太郎さんは、香港からフェリーでマカオを訪れ、今とだいたい同じ場所にあるフェリー・ターミナルから、徒歩でおそらく20分(1.5km)ほど歩いて、「リスボア」に到着しています。
沢木さんは、次のように書いています。
日本人にとって、マカオはほとんど博奕の街でしかなくなっている。東洋のモンテカルロなどという情けない名をつけ、モンテカルロはもちろん、ラスベガスにも行けない博奕好きが、手軽にカジノの雰囲気を味わうために訪れるのだ。
しかし、私がマカオへ向かったのは、博奕を打つためではなかった。別に大した理由もなく、マカオにでも行ってみようかなという気になったのだ。もしかしたら、香港の喧噪と熱気から離れ、少し息を抜きたかったのかもしれない。うろつき廻り、なにかに遭遇し、昂揚した気分になる。そのことが思いがけないほど私を疲労させていたようなのだ。
(沢木耕太郎著『深夜特急1 香港・マカオ【増補新版】』新潮社、2020年)
しかし沢木さんはまもなく、ここでカジノに大ハマリするのです。
「リスボア」の界隈については、次のように書かれています。
……着いてみると、そこはリスボアというホテルであり、裏手には葡京娯楽場と記された出入口があった。葡京娯楽場、つまりカジノ・リスボアというわけだ。いずれにしても私とは縁のなさそうなところだった。
リスボア・ホテルの前には、海岸通りと直角に一本の道が走っており、どうやらそれがメイン・ストリートであるらしい。
その道を三十メートルか四十メートルくらい行くと、広い通りと交差する。標識によれば、ルア・ダ・プライア・グランデ、プライア大通りとあり、漢字で南湾街と記されてあった。
メイン・ストリートらしき道をさらに真っすぐ行けば、マカオで最も繁華な一帯に出そうだということはわかっていたが、私は南湾街を左に折れてみた。……
まずは、このメイン・ストリートをまっすぐに行って、「マカオで最も繁華な一帯」を見ようと思いました。
そうすると世界遺産のひとつ、「セナド広場」が見えてきます。
「セナド」は「議会」という意味だそうです。
そこから北東へ2、3分歩くと、世界遺産の「聖ドミニコ教会」があります。
『深夜特急』の地図では、「聖ドミンゴ教会」と書かれています。
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