新著『今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「マーケティング」』の内容を紹介する9回目。
今回は「ポジショニング」のお話です。
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1-14 ~ 1-17で「ポジショニング」の話をしました。
差別化やポジショニングには「客観的な実態」と「主観的なイメージ」という2つの側面があります。ここでは、イメージ戦略としてのポジショニングを考えましょう。
ポジショニングでよくつかわれる手法に、あるポジションへイメージを寄せる(近づける)「比喩」(metaphor)や「類推」(analogy)、あるポジションとの違いを鮮明にする「対比」(contrast)などがあります。
たとえば、世界中に「小ヴェニス」(Little Venice、Petite Venise)と名づけられた場所があります。私が実際に訪れたところでは、ドイツのバンベルクや、フランスのコルマールに、そうした地名がありました。
「小ヴェニス」の景観が本物のヴェニス(ヴェネツィア)に似ているかといえば、あまり似ていないと思います。
ヴェネツィアにあるのは、建物に囲まれた海水の運河です。趣のある風景ですが、緑や自然はありません。バンベルクやコルマールの「小ヴェニス」は川沿いの瀟洒な景観で、緑も豊かです。それぞれの地域で、建物の様式も違います。
ヴェネツィアの風景
ヴェネツィアは「水辺の美しい街」として、世界のトップ・ブランドでしょう。実際に似ているかどうかは別として、「小ヴェニス」を名乗れば「ヴェネツィアのように美しい場所」「水辺の絶景」をイメージさせることができます。実際の景色を見せなくても「すばらしい場所」「訪れる価値のある場所」だと、わかりやすく伝えられるのです。
このように、「すでに卓越したイメージをもつ商品のポジションへ近づける」「イメージを借用する」というのが「比喩」「類推」です。
「東洋の魔女」(1960年代の女子バレーボール日本代表)、「コンピューター付きブルドーザー」(田中角栄さん)、「下町のナポレオン」(むぎ焼酎「いいちこ」)のように比喩をつかったネーミングは、短い言葉で覚えやすく、忘れがたい印象を残します。
3-12 で、日清「カレーメシ」のリブランディング( rebranding、ブランドの再構築)を手がけた佐藤可士和さんの話を紹介しました。
佐藤さんは「商品名にカレーライスと入れると、お店のカレーライスと比較されてしまうので、カレーメシという新しいポジションをつくった」と説明していました。
カレーライスとの類比を避けるためにネーミングを変えて、ポジションを遠ざけたわけです。
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「宣伝会議」さまの実践講座に登壇しました。
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◆ 「読者が選ぶビジネス書グランプリ2022」にノミネートされました。
◆ ライザップの瀬戸健社長が、『週刊文春』で書評をお書きくださいました(2021年10月28日号、p.121)。
単行本、聴く本(オーディオブック、Audible)、電子書籍(Kindle、Kobo、Kinoppy、honto、Doly)
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今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「マーケティング」【内容紹介】
◆ 「二子玉川 蔦屋家電」さまで、マーケティングの月間ランキング1位になりました(2022年5月、6月、9月)。
◆ 『日刊工業新聞』さまに書評が掲載されました(2022年2月7日)。
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今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「意思決定」【内容紹介】
◆ 『PRESIDENT』2023年2.17号の「職場の心理学」のコーナーで、「絶対に失敗が許されない人の「意思決定力」養成法」と題した著者の記事が掲載されました(p.106-109)。
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