H・ファヨール著、佐々木恒男訳『産業ならびに一般の管理』(未来社、1972年)。
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今回は「14の管理原則」のうち、(8)~(10)を紹介します(p.53~69)。
ファヨールがすでにヒエラルキーの欠点をよく認識していて、分権化についても言及しているのが印象的です。
(8)権限集中の原則
● 動物の感覚が頭脳に集中し、命令が頭脳から発せられるのと同様、社会的なすべての組織体において、感覚は指導部に集中し、組織体のあらゆる部分を動かす命令は指導部から発せられる。
● 権限の集中あるいは分権化の問題は単なる程度の問題である。問題は企業にとって好ましい限界を見出すことである。
● もしも責任者の価値・能力・知性・経験・理解の速さが、彼の活動範囲を大いに広げるのを可能ならしめるならば、彼は権限の集中を非常に遠くまで押し進め、彼を補佐する人たちを単なる執行担当者の役割にしてしまうことができるであろう。これとは反対に、もしも全般的な指揮を行う特権を保持しながら、彼がその部下の経験・見解・助言にもっと頼りたいのであれば、彼は広範な分権化を行うことができる。
(9)階層組織の原則
● 階層組織は上位権限者から下位の担当者にいたる責任者の系列である。
● 階層的経路は、上位権限者から発せられた、あるいは上位権限者に向けられた伝達が、階層組織のすべての段階を経るのにしたがう経路である。この道筋は確実な伝達の必要性と命令の一元性とを同時に課せられている。しかし、この道筋は常に最も速いものではない。極めて大規模な企業、とりわけ国家においては、それは時として災難であるほどにまで長い。
● 成功が迅速な執行にかかっているような活動が多数存在する。したがって、階層的経路の尊重を迅速に伝達する義務と両立させることができなければならない。
(10)秩序の原則
● 物的秩序は結果として物質の損失と時間の損失を回避するものでなければならない。この目的が完全に達成されるためには、物体がその場所にあり、適切に調整されているだけでなく、さらにその場所ができるだけすべての活動を容易にするように選ばれていることが必要である。
● 企業において社会的秩序が支配するためには、それぞれの担当者に一つの場所が与えられ、各担当者は割り当てられた場所にいることが必要である。完全な社会的秩序となるためには、その場所がその担当者に適しており、その担当者がその場所に適していること、すなわち適材適所ということが必要となる。
● 企業の運営に必要な部署が決定されると、われわれはこれら部署を担当する人を採用し、各担当者は彼が最も役に立つことができる部署に就く。完全な社会的秩序はこのようなものである。
● 個人的な利益が全体的な利益を無視あるいは犠牲にし、野心、閥族主義、情実、無知によって不必要な部署を増やし、あるいは必要な部署に無能な担当者を位置付けた場合には、これらの弊害を拭い去り社会的秩序を取り戻させるのに、多くの才能と意思、辛抱強さを必要とする。
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