今回は、著書のボツネタから。
時間管理の話ですが、紙幅の関係で削ることになりました。
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今度は、時間について考えてみましょう。ドラッカーは次のように書いています。
成果をあげる者は、時間が制約要因であることを知っている。あらゆるプロセスにおいて、成果の限界を規定するものは最も欠乏した資源である。それが時間である。
時間は特異な資源である。主要な資源のうちでは、資金は豊富にある。経済発展や経済活動の阻害要因になっているものは、資金供給ではなく資金需要であるとさえいってよい。もう一つの資源である人材は、雇うことができる。ところが時間は、借りたり、雇ったり、買ったりして増やすことができない。
・・・時間は他のもので代替できない。ほかの資源ならば、限界はあっても代替できる。アルミの代わりに銅で代替できる。労働の代わりに資本で代替し、肉体の代わりに知識で代替できる。時間にはその代わりになるものがない。
時間はあらゆることで必要となる。時間こそ真に普遍的な制約条件である。あらゆる仕事が時間の中で行われ、時間を費やす。しかしほとんどの人が、この代替できない必要不可欠にして特異な資源を当たり前のように扱う。おそらく時間に対する愛情ある配慮ほど成果をあげている人を際立たせるものはない。[1]
私も仕事と家事・育児で忙しい時期があったので、時間管理(time management)については、かなり考えました。最も参考になったのは野口悠紀雄先生の『「超」整理法』シリーズでしたが、他にも多くの本を読みました。
時間を節約する基本のひとつは、「整理・整頓」です。
多くの企業は、「5S」という活動に取り組んでいます。ローマ字で書くと、いずれもSが頭文字になる「整理」「整頓」「清掃」「清潔」「習慣化」のことです。最後の「習慣化」は「躾」(しつけ)と書いてあるものが多いのですが、一人前の大人に「躾」というのはちょっとした違和感もあり、意味もわかりにくいので、ここでは「習慣化」の方を使います。
整理・整頓というのは、仕事の効率に直結します。仕事に必要な道具や資料を探すのに時間をとられるようでは、生産性が下がります。工場で部品や工具が散らばっていては、怪我や事故の原因にもなります。整理・整頓ができていれば掃除もしやすくなりますから、「清掃」「清潔」「習慣化」の基礎にもなります。
食品や衛生用品、精密機器などの工場なら、「清掃」「清潔」は、製品の品質や歩留まり(不良率)にも直結します。
誰しもきれいな職場で気持ちよく働きたいでしょうから、従業員のモチベーションにも影響するでしょう。
[1] P・F・ドラッカー著、上田惇生訳『経営者の条件』(ダイヤモンド社、2006年)、第2章、「時間は普遍的な制約条件」
(次回へつづきます)
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