(経営学者)佐藤 耕紀 のブログ

経営学の紹介 & Coffee Break(写真、紀行、音楽など)

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

高級ホテルでも原価は1000円以下?:「ZUU online」での著書紹介(3)

経済金融メディア「ZUU online」さまの連載記事で、著書の内容が紹介されています。 第3回は、「高級ホテルでも原価は1000円以下? 限界費用」という話です。 zuuonline.com よろしければぜひ、ご一読ください。 記事では参照資料が省略されているので、補足…

仕事のできる人が考えていることとは?:「ZUU online」での著書紹介(2)

経済金融メディア「ZUU online」さまの連載記事で、著書の内容が紹介されています。 第2回は、「仕事のデキる人が考えていること 選択と費用対効果」という話です。 zuuonline.com よろしければぜひ、ご一読ください。 少しだけ、補足をしておきます。 ノー…

高いほどよく売れる?「ヴェブレン効果」とは:「ZUU online」での著書紹介(1)

経済金融メディア「ZUU online」さまの連載記事で、著書の内容が紹介されています。 第1回は、経済学者のヴェブレンが『有閑階級の理論』で考えた「見せびらかし消費」(conspicuous consumption)について。 動物の「求愛ディスプレー」(courtship display、…

ヨーロッパ鉄道紀行(21) バンベルク

左レグニッツ川(レグニッツ川の、南西側の支流)から枝分かれした運河沿いの、静かな散歩道。 黄葉が映えてきれいでした。 旧市庁舎は、両岸の街への中立の象徴として、川の中洲に建てられたという説もあるようです。 建物の一部は橋と一体化し、増築された…

ヨーロッパ鉄道紀行(20) ドレスデン ~ バンベルク

週末のCofee Breakです。 ドレスデンから西へ120kmほどのところに、ライプツィヒという街があります(「ライプツィック」と発音する人もいます)。 今回はライプツィヒを素通りして、さらに南西へ250kmほど行ったバンベルクに立ち寄りました。 日本ではそれ…

読書メモ:『和をもって日本となす』(7)

『和をもって日本となす』(ロバート・ホワイティング著、玉木正之訳、角川書店、1990年) ***** 日本人とアメリカ人の、仕事観・人生観の違いについては、つぎのエピソードによく表れているように思います。 1986年、ブーマー・ウエルズが、3月の終わ…

読書メモ:『和をもって日本となす』(6)

『和をもって日本となす』(ロバート・ホワイティング著、玉木正之訳、角川書店、1990年) ***** 日本とアメリカの文化や常識の違いについては、次のようなエピソードが紹介されています。 読者のみなさんは、ここに描かれる日本とアメリカ、どちらの感…

読書メモ:『和をもって日本となす』(5)

『和をもって日本となす』(ロバート・ホワイティング著、玉木正之訳、角川書店、1990年) ***** 日本の精神主義・プロセス主義・集団主義と、これに対するアメリカ人の個人主義・成果主義については、次のように描かれています。 日本の野球選手は、肉…

読書メモ:『和をもって日本となす』(4)

『和をもって日本となす』(ロバート・ホワイティング著、玉木正之訳、角川書店、1990年) ***** 以前の記事でも紹介したのですが、パーソル総合研究所が2019年に行った「日本で働く外国人材の就業実態・意識調査」(https://rc.persol-group.co.jp/new…

ヨーロッパ鉄道紀行(19) ドレスデン

ドレスデン城から、東へ2、3分歩いたところにある「聖母(フラウエン)教会」。 大空襲で大半が焼け落ち、できるだけ元のレンガをつかって再建したといいます。 ところどころに見える煤けたレンガが、それなのでしょう。 聖母教会のあたりから見た、エルベ川…

ヨーロッパ鉄道紀行(18) プラハ ~ ドレスデン

週末のCofee Break、写真紀行です。 プラハの街を散策して、12:00までにホテルへ戻るつもりでした。 が、途中で道に迷ってしまい、チェック・アウトの時間に遅れてしまいました。 超過料金を請求されても仕方がないと思いましたが、「ごめんなさい、迷っちゃ…

読書メモ:『和をもって日本となす』(3)

『和をもって日本となす』(ロバート・ホワイティング著、玉木正之訳、角川書店、1990年) ***** 「二」章では、「現在まで日本人の野球観に多大な影響を与え続けた」という飛田穂洲の哲学が紹介されます。 彼は、1919年~1925年まで早稲田大学野球部の…

読書メモ:『和をもって日本となす』(2)

『和をもって日本となす』(ロバート・ホワイティング著、玉木正之訳、角川書店、1990年) ***** 「一」章は、ボブ・ホーナーの次の言葉ではじまります。 ホーナーは、当時のメジャー・リーグのオールスター選手でした。 ヤクルト・スワローズと契約し…

読書メモ:『和をもって日本となす』(1)

『和をもって日本となす』(ロバート・ホワイティング著、玉木正之訳、角川書店、1990年)の原著は、バブル絶頂期の1989年に出版されました。 野球を通じて、日本とアメリカの文化の違いや軋轢を描いた名著です。 玉木正之さんの翻訳もみごとで、これほど自…

日本人は効率が嫌い?: 日本の組織文化の源流を求めて

著書の11-5で、「日本の生産性はなぜ低いのか」ということを考えました。いろいろな要因があるのだと思いますが、「文化」の問題もあるのかもしれません。 「生産性」や「効率」というのは「費用対効果」、つまり「費用」に対する「効果」の大きさです。費用…

一番おもしろかったマーケティングの本は?

詳細は決まっていないのですが、次の著書は「マーケティング」をテーマにする予定です。 私は大学でマーケティングのゼミをとって以来、かれこれ30年以上、マーケティングを学んだり、教えたりしてきました。 専門書から一般向けまで、マーケティングの本も…

ヨーロッパ鉄道紀行(17) プラハ

旧市街広場から、西へ10分ほど歩くと、モルダウ(ヴルタヴァ)川に出ます。 マーネス橋のたもと(東側)に、チェコ・フィルハーモニー管弦楽団の本拠地「ルドルフィヌム」があります。 チェコ・フィルの創立公演(1896年)では、ドヴォルザーク本人の指揮で…

ヨーロッパ鉄道紀行(16) プラハ

週末(といいますか、お盆ですね)のCoffee Breakです。 プラハ中央駅前のホテルにチェック・インするとき、私の前にいた女性のお客さんが、手続きが終わってもフロントの人と長話をしていました。 すると、ロビーで座っていたご老人(たぶんアメリカ人)が…

部屋がどんどん散らかるのはなぜ?: エントロピー増大の法則

今回も、著書のボツネタ(前回のつづき)です。 ***** ②「置く位置を決める」では、頻繁に使うものほど、身体の近く、手の届く場所、最小の時間・距離・動作でとれる場所に置くのが基本です。私の場合は、自分の座るイスを囲むように、パソコン、プリン…

整理・整頓のコツは?: 最長未使用時間

今回も、著書のボツネタ(前回のつづき)です。 ***** 整理・整頓のコツは3つあります。①「モノを減らす」、②「置く位置を決める」、③「使ったものはもとへ戻す」ということです。 ①「モノを減らす」ですが、モノが多いほど、整理・整頓して収納するの…

ドラッカーが最も重要と考えた資源は?:時間管理、5S

今回は、著書のボツネタから。 時間管理の話ですが、紙幅の関係で削ることになりました。 ***** 今度は、時間について考えてみましょう。ドラッカーは次のように書いています。 成果をあげる者は、時間が制約要因であることを知っている。あらゆるプロ…

著書の増刷が決まりました!

著書の増刷が決まりました。 出版される本のなかで、増刷される割合は15%前後といわれます。 「出版不況」といわれて久しく、本を出すこと自体が難しい時代です。 出版から1ヶ月半での増刷は、大変ありがたいことです。 応援してくださったみなさまのおかげ…

食事にありつけるのは、利己心のおかげ?: 「交換」と「分業・専門化」

著書の9-4では、アダム・スミスの『国富論』を引用して、「交換」と「分業・専門化」の話をしました。 教科書で『国富論』の名前を知ってはいても、実際に読んだことのある人は、あまりいないのではないでしょうか。 著書ではあまり多くを紹介できませんでし…

ヨーロッパ鉄道紀行(15) ハルシュタット ~ プラハ

オーバートラウン(Obertraun-Dachsteinhoehlen)の駅から、北へ25kmほどのバート・イシュル(Bad Ischl)、そこから北へ50kmほど行ったアットナング・プッフハイム(Attnang-Puchheim)を経由して、さらに北東へ70kmほどのリンツ(Linz)へ向かいました。 …

ヨーロッパ鉄道紀行(14) ハルシュタット

このあたりの鉄道は、湖の東岸を走っています。 ハルシュタットの街は西岸なので、列車で訪れる人の多くは、対岸から船で行くことになります。 東岸にある鉄道のハルシュタット駅と、西岸のHallstatt Markt(街の中心部、ルーテル教会にほど近い船着き場)を…

ヨーロッパ鉄道紀行(13) ハルシュタット

週末のCoffee Break、写真紀行です。 前回に続いて、ハルシュタットの散策。 街から北側を見ると、こんな感じ。 北の高台(上の写真、Haus Cianのあたり)まで歩いて、街をふり返ると、こんな感じです。 来た道を戻って、ふたたび街の南側、Hallstatt Lahnの…

「FIRE」ってなに?: 投資の期待リターン

最近、「FIRE」という言葉をよく耳にします。 「Financial Independence, Retire Early」の頭文字をとったもので、「経済的に自立して、早くリタイアしよう」というものです。 簡単にいえば、「早くお金を貯めて、好きなことをする自由を手に入れよう」とい…

「わかりやすい文章」を書くには?: 池上彰さんに学ぶ

著書を読んでくださった方から、よく「わかりやすい」と言っていただきます。 社交辞令もあるのでしょうし、他に褒めるところがないのかもしれませんが、「わかりやすさ」にこだわって書いたのはたしかです。 今回は、「わかりやすい文章」ということについ…

「TEAM OF TEAMS」ってなに?: 権限移譲

著書の8-12~8-14で、『TEAM OF TEAMS』という本の内容を紹介しました。 紙幅の関係で、著書では大幅にカットせざるを得なかったのですが、とても重要なことがわかりやすく書かれているので、ここでは少し長めに引用しておきます。 ***** 2003年から200…

中央集権と自律分散?: 機能別組織と事業部制組織

今回も、著書のボツネタから。 前回の続きとして読んでいただければと思います。 機能別組織と事業部制組織は、伝統的な経営学の教科書には必ず出てくるようなトピックスです。 ただ、少々込み入った話になってしまい、現代の組織の説明としては古くなってき…